クリニックの看護師は夜勤がなく楽だと思われがちですが、実際には少人数体制ならではの悩みや苦労もあります。クリニックでの勤務に疲れてしまい「もう辞めたい」と悩んでしまう看護師も多いのではないでしょうか?
この記事ではクリニックで働く看護師の仕事内容やつらいと感じる理由、つらいときの対処法などを詳しく解説します。記事を読めばクリニック勤務のつらさを乗り越えるヒントが見つかり、自分らしいキャリアを歩むための選択肢が明確になります。
クリニックでの勤務がつらいと感じたら、まずは業務の効率化や上司・同僚への相談といった対処法を試してください。対処法を試しても心身の不調が続く場合は、無理せず自分に合った環境への転職を検討しましょう。
クリニックの看護師の仕事内容

クリニックの看護師は診療補助を中心とした幅広い業務を担当します。看護師は患者と直接関わる医療行為から診察環境を整える裏方の仕事まで、クリニック運営に欠かせない役割を果たしています。クリニックで働く看護師の主な仕事内容は以下のとおりです。
- 問診・患者案内
- バイタルサイン測定(血圧・体温・脈拍など)
- 採血・注射・点滴
- 傷の処置・包帯交換
- 検査の説明・準備
- 心電図・エコー検査の実施
- 医療器具の管理・滅菌
- 患者・家族への指導・説明
- カルテ入力補助
- 診察室の準備・片付け
- 薬品管理・在庫確認
- 感染対策の実施
医師の診察がスムーズに進むようサポートし、患者が安心して治療を受けられる環境を整えることが看護師の役割です。診療科によって業務内容は異なりますが、看護師の専門知識と技術を活かした医療業務が中心となります。
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クリニック勤務の看護師がつらいと感じる5つの理由

クリニック勤務の看護師がつらいと感じる5つの理由は以下のとおりです。
- 給料が低い
- 1人当たりの業務量が多い
- 人間関係が難しい
- 有給が取りづらい
- スキルアップの機会が少ない
給料が低い
クリニックで働く看護師の給料が低くなる大きな要因は夜勤手当の有無です。病院勤務の看護師にとって重要な収入源である夜勤手当が、夜間勤務のないクリニックでは支給されません。クリニックでは基本給自体が病院よりも低く設定されており、昇給制度が明確でないケースも多くあります。
ボーナスや各種手当についても病院と比較して充実していない傾向にあるため、年収に大きな差が生まれることがあります。クリニックは日勤のみで働きやすいメリットがある一方、給与面での不満を抱えやすい点がデメリットです。
» 看護師の平均年収を徹底解説!
1人当たりの業務量が多い

クリニックは少人数のスタッフで運営されているため、看護師一人ひとりが担当する仕事の範囲が広くなります。クリニックの看護師に求められる業務は以下のとおりです。
- 診療補助
- 検査業務
- 医療器具の洗浄・滅菌
- 薬品・備品の在庫管理
- 患者指導
クリニックではインフルエンザや花粉症の時期に患者が急増し、看護師が休憩も取れないほど忙しくなることもあります。クリニックで急な欠員が出た場合は残りのスタッフですべての業務を分担しなければならず、1人の負担がさらに増加します。
人間関係が難しい
クリニックの看護師が抱えやすい人間関係の悩みは、以下のとおりです。
- スタッフが少ないため一度人間関係がこじれると修復が難しい
- 院長の方針や性格が合わない場合に働きづらさを感じる
- 古参スタッフの影響力が強く独自のルールや派閥がある
- 業務上の意見対立が人間関係の悪化につながりやすい
- 悩みを相談できる人が職場におらず1人で抱え込んでしまう
逃げ場のない狭い環境は人間関係の悩みがより深刻になりやすく、クリニックの看護師にとって大きなストレスにつながります。
» 看護師が抱える人間関係の悩み|原因や悩みを軽くする方法を解説
有給が取りづらい

クリニックの看護師が有給を取りづらい主な原因は、代わりのスタッフがいないことです。クリニックは病院のように人員に余裕がないため、1人が休むと他のスタッフの負担が大きくなってしまいます。有給を消化する文化が職場に根付いていないクリニックでは、希望日に休みを取ることが困難です。
有給が取りづらい状況は看護師にとって精神的な負担となり、クリニックで働くつらさを感じる要因となります。
» 看護師の休み、実際どう?年間休日と有給のリアル
スキルアップの機会が少ない
クリニックの看護師がスキルアップの機会が少ないと感じる理由は、以下のとおりです。
- 担当する業務が同じことの繰り返しで、新しい知識や技術を身に付けにくい
- 最新の医療に触れる機会が少なく、医療の進歩についていけるか不安になる
- 少人数の職場であるため、研修や勉強会などの教育制度が整っていない
- 患者の容体が急変する場面や、高度な医療処置を経験する機会がほとんどない
- 専門看護師や認定看護師の資格を取得しても、専門性を発揮できる場面が少ない
スキルアップの機会が少ない状況が続くとキャリアに不安を感じ、やりがいを見失ってしまうクリニックの看護師も多くいます。
クリニックの看護師がつらいときの対処法5選

クリニックの看護師がつらいときの対処法5選は以下のとおりです。
- 業務の効率化を図る
- 上司や同僚に相談する
- ストレス解消法を見つける
- 研修や勉強会でスキルアップを図る
- 転職を視野に入れる
①業務の効率化を図る
クリニックで働く看護師は日々の業務を少し工夫するだけで仕事の負担を軽くできます。一つひとつの作業時間を短くすれば、残業を減らしたり休憩をしっかり取ったりすることも可能です。業務の効率化を図るためにクリニックの看護師が明日からすぐに始められる工夫は以下のとおりです。
- 業務のリストアップと優先順位付け
- 整理整頓の徹底
- 電子カルテの単語登録機能の活用
- 物品のセット化による準備時間短縮
- 情報共有ルールの見直し
- 院内動線の見直し
小さな改善を積み重ねれば業務がスムーズになり、負担が軽くなります。
②上司や同僚に相談する

クリニックで働くのがつらいときは1人で抱え込まず、信頼できる上司や同僚に相談しましょう。上司や同僚に悩みを相談すると、自分では気づかなかった解決策や客観的なアドバイスをもらえることがあります。上司や同僚からのアドバイスで業務量の調整や役割分担の見直しなど、具体的な環境改善につながる可能性もあります。
クリニックでの悩みを上司や同僚に相談する際は事前に事実と状況を整理し、具体的で前向きな要望として伝えてください。要望を伝えることで上司や同僚が状況を理解し、快く力を貸してくれる可能性が高まります。
③ストレス解消法を見つける
意識的にリフレッシュする時間を作るとプライベートが充実し、仕事への意欲も湧いてきます。効果的なストレス解消法は以下のとおりです。
- 軽い運動(ウォーキング、ヨガなど)
- アロマや入浴でのリラックス
- 友人や家族との会話
- 趣味の時間(映画鑑賞や読書、音楽など)
- マッサージや整体での体のケア
- おいしい食事やカフェでの息抜き
- 質の良い睡眠の確保
- 感情や考えをノートに書き出す
クリニックでのつらい状況を乗り切るには自分に合ったストレス解消法を見つけ、心と体を休める時間を持つことが効果的です。
④研修や勉強会でスキルアップを図る

クリニックの看護師は知識や技術が不足していると感じると、仕事に自信が持てなくなる場合があります。看護師が仕事の自信を取り戻すには自ら学ぶ機会を作り、専門性を高めることが効果的です。クリニックで働く看護師のスキルアップには、以下のような方法があります。
- 院外の研修やセミナーへの参加
- オンライン学習プラットフォームの活用
- 専門資格の取得
- 地域の勉強会や学会への参加
- 看護専門書籍や専門誌での学習
それぞれの方法で新たな学びを得ることは、仕事へのモチベーション向上に役立ちます。看護師としての成長が、クリニックでの仕事のつらさを乗り越える助けになります。
⑤転職を視野に入れる
さまざまな対処法を試してもクリニックでのつらい状況が変わらなければ、転職も選択肢の一つです。職場環境を変えれば給料や人間関係といった悩みが根本から解決できる可能性があります。
クリニックでのつらい状況を我慢して働き続けると、心や体に不調をきたしてしまうリスクがあります。クリニックからの転職を検討する際は、現在の不満や転職先への希望を書き出し転職サイトで情報を収集しましょう。
譲れない条件を明確にし在職中に転職活動を進めることで、安心して次のステップに進めます。つらい気持ちを抱えながら無理に働き続けるのではなく、自分らしく輝ける新しい場所を探すことも前向きな一歩です。
» 理想の働き方を実現する!看護師の転職を成功させるポイント
クリニックの看護師を辞めるべきか判断する3つの基準

クリニックの看護師を辞めるべきか判断する3つの基準は、以下のとおりです。
- 心身に不調が出ている
- 人間関係の悩みが解決しない
- 他のキャリアに興味がある
心身に不調が出ている
心や体に不調が出ている場合、クリニックの看護師を辞めるべき重要なサインの可能性があります。不調があるのに無理をして働き続けると、回復が困難になる恐れがあります。以下のような症状に心当たりがある場合は注意が必要です。
- 理由もなく涙が出る
- 腹痛や吐き気が続く
- 眠れない、または眠りが浅い
- 休日もリラックスできず、仕事のことが頭から離れない
- 些細なことでイライラしたり、感情の起伏が激しい
- 以前は楽しめた趣味に興味を持てなくなった
各症状が見られる場合は、心と体が助けを求めている可能性があります。
人間関係の悩みが解決しない

クリニックのような少人数の職場は、人間関係が一度こじれると修復がとても困難です。スタッフが固定されている環境では、逃げ場がなくつらい状況が長く続いてしまいます。自分で努力しても改善が難しいケースは以下のとおりです。
- いじめや嫌がらせを受けている
- 院長やスタッフとの考え方が根本的に合わない
- 上司に相談しても状況が変わらない
- 職場の雰囲気が悪く孤立している
それぞれの問題は個人の力だけではどうにもならないことがほとんどです。自分の心と体を守るためにも、環境を変える選択を真剣に検討しましょう。
他のキャリアに興味がある
クリニックでの仕事にやりがいを感じられず、他のキャリアに魅力を感じ始めたら、転職を考える良い機会です。看護師の資格や経験はクリニック以外にもさまざまな場所で活かせます。看護師の新しいキャリアとして、専門看護師や認定看護師といった高度な専門性を追求する道もあります。
訪問看護や介護施設での地域密着型ケア、保健師として予防医療に携わる仕事、美容クリニックや一般企業での産業看護師なども選択肢です。クリニックの看護師として培った経験を活かしながら、自分の可能性を広げましょう。
クリニックの看護師がつらいと感じる方におすすめの転職先

クリニックの看護師がつらいと感じる方におすすめの転職先は、以下のとおりです。
- 訪問看護ステーション
- 介護施設
- 保健師
訪問看護ステーション
クリニックの看護師と比べて、訪問看護ステーションには以下のようなメリットがあります。
- クリニックより給与水準が高く、オンコール手当で収入アップが期待できる
- 日勤中心で土日祝休みの事業所が多く、プライベート時間を確保しやすい
- 1人で訪問するため自分のペースで看護でき、人間関係のストレスが少ない
- 利用者や家族と深く関わることができ、直接感謝の言葉をもらえる機会が多い
- 在宅医療の専門知識が身に付き、将来のキャリアアップにつながる
訪問看護ステーションは利用者一人ひとりとじっくり向き合う看護を実践したい看護師におすすめの転職先です。
介護施設

介護施設は利用者の日々の健康管理が主な仕事であり、クリニックのような慌ただしさは少なくなります。利用者一人ひとりとじっくり向き合いながら、心にゆとりを持って働ける点が介護施設で働く魅力です。介護施設での看護師の主な仕事内容は、利用者のバイタルチェックや服薬管理、健康状態の観察などがあります。
介護施設はクリニックと比べて残業が少なく、プライベートの時間を確保しやすい職場です。他職種とのチーム連携を重視した働き方も介護施設の特徴です。介護施設は利用者の生活に長期的に寄り添い、チームで働く経験を積みたい看護師にとってやりがいのある職場と言えます。
» 介護施設で働く看護師の仕事内容や求められる能力を解説
保健師
保健師は看護師の資格や経験を活かしながら、病院やクリニックとは違った視点で人々の健康を支える仕事です。保健師として働くには、看護師資格に加えて保健師の国家資格が必要です。資格取得には保健師課程のある教育機関で1〜2年間学ぶ必要があります。
クリニックの看護師と比べて保健師として働くメリットは以下のとおりです。
- 行政保健師は公務員のため給与・福利厚生が安定している
- 夜勤なし、土日祝日休みでワークライフバランスを実現できる
- 病気の予防や健康づくりといった予防医療のやりがいを感じられる
- デスクワークや健康相談が中心で体力的な負担が少ない
- 看護師の臨床経験を活かしながら予防医療の新たな知識を学べる
保健師は看護師の臨床経験を活かしながら、予防医療という新たな分野に挑戦できる魅力的な転職先です。
クリニック勤務のつらさを理解して理想の働き方を実現しよう

クリニック勤務の看護師が感じるつらさは多くの人に共通する悩みです。クリニックの仕事がつらいと感じたら、給料や人間関係、業務量など、まずはつらさの原因を冷静に分析しましょう。現在の職場での改善が困難な場合は、クリニックの看護師として無理に働き続ける必要はありません。
クリニックの看護師としての経験は、訪問看護や介護施設、保健師など他の職場でも十分に活かせます。クリニックでの仕事がつらいと感じる場合は自分へのケアを続けながら、他の職場の情報収集や転職活動も検討してみましょう。
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