看護師資格の種類と取得方法を解説!社会人ルートから国家試験の概要まで

看護師資格の種類と取得方法を解説!社会人ルートから国家試験の概要まで

看護師の資格の種類や取得方法を詳しく知らない人は多くいます。看護師は正看護師や准看護師、専門看護師など、患者のケアや医療現場での役割に応じて、さまざまな種類がある職業です。この記事では、看護師資格の種類や取得方法、国家試験の概要などを解説します。

記事を読めば、自分に合った看護師資格の取得方法や効果的な勉強法がわかります。看護師資格を取得するには、自分に合った教育機関選びが重要です。自分の目標や興味に合わせて、適切な資格を選びましょう。

看護師資格の種類

看護師資格の種類は、以下のとおりです。

  • 正看護師
  • 准看護師
  • 専門看護師と認定看護師
  • 助産師と保健師

正看護師

正看護師は、患者の診療の補助や療養上の世話が主な仕事です。3年以上の専門教育を受け、国家試験に合格すると正看護師になれます。准看護師よりも高度な医療行為ができるため、給与水準も高いのが特徴です。正看護師の活躍の場は幅広く、病院や診療所、介護施設で働けます。

正看護師はチーム医療の中心的な役割を担い、患者との信頼関係の構築が大切です。ストレス管理能力も求められます。キャリアアップの選択肢も多く、専門看護師や認定看護師を目指せます。海外で看護師として働くチャンスもあるため、将来の可能性を広げることが可能です。
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准看護師

准看護師は、2年間の養成所、または高校衛生看護科で取得できる資格です。正看護師よりも短期間で資格を得られ、都道府県知事から免許を受けます。業務範囲が正看護師より限定的である点や、医師や正看護師の指示の下で業務を行うのが特徴です。

准看護師は地域医療や介護施設で需要が高い傾向です。給与は正看護師よりも低めであり、夜勤や休日勤務が制限される場合もあるので、勤務条件を確認しましょう。医療の高度化に伴い、准看護師から正看護師への転換が推奨される傾向にあります。

正看護師への進学ルートとして2年課程や通信制などがあるため、キャリアアップを目指す人にはおすすめです。

専門看護師と認定看護師

専門看護師と認定看護師は、高度な専門性を持つ看護師の資格です。専門看護師や認定看護師の資格を取得すると、より質の高い看護ケアを提供できます。専門看護師は、特定の分野で高度な看護実践能力を持つ看護師です。認定看護師は、特定の看護分野でより専門的な知識と技術を持つ看護師を指します。

専門看護師になるには、修士課程を修了し、実務経験を積む必要があります。認定看護師になるには、特定の教育課程を修了し、実務経験を積まなければなりません。専門看護師と認定看護師は、日本看護協会が認定を行います。専門看護師は11分野、認定看護師は21分野があるため、興味のある分野を選びましょう。

専門看護師は実践や相談、調整や倫理調整、教育や研究の6つの役割があります。認定看護師は実践や指導、相談の3つの役割に特化しているのが特徴です。専門看護師や認定看護師資格を取得すると、専門性の高い看護ケアを提供できます。医療の質向上に大きく貢献できる資格です。

助産師と保健師

助産師と保健師は、看護師資格を基礎として取得できる専門性の高い資格です。需要が高く、看護師よりも高い給与水準が期待できます。助産師は妊娠や出産、産後のケアを専門とし、産科や助産院での就職が多い傾向にあります。助産師の資格取得には国家試験に合格する必要があり、分娩介助などの実践的な技術習得が必要です。

保健師は地域の健康増進や予防医療を担当し、保健所や市町村の保健センターなどで働けます。保健師国家試験に合格することが資格取得の条件で、公衆衛生や疫学などの知識が重要です。助産師や保健師の取得には追加の教育課程が必要ですが、専門性を活かしたキャリアアップの選択肢として魅力的です。

助産師は妊娠や出産、産後のケアを専門とし、保健師は地域の健康増進や予防医療を担当します。

看護師資格を取得する方法

看護師資格を取得する方法は、以下のとおりです。

  • 看護大学で学ぶ
  • 看護専門学校で学ぶ
  • 看護短大で学ぶ
  • 5年一貫看護師養成課程校で学ぶ

看護大学で学ぶ

4年制大学では、看護の専門知識と実践的なスキルを幅広く学べます。看護大学のカリキュラムは、看護の専門科目や一般教養科目、臨地実習などの特徴があります。保健師や助産師の受験資格は、所定の養成課程が設置されている大学で、該当課程を修了することで取得できます。大学では幅広い知識を得られるのがメリットです。

研究や教育分野でのキャリアにも有利になり、学士号を取得できるので、大学院進学の道も開けます。奨学金制度を利用できる場合があるため、学費の負担を軽減できます。

看護専門学校で学ぶ

看護専門学校で学ぶのは、看護師を目指すための効果的な選択肢です。3年制の専門課程で実践的な技術や知識を身に付けられます。看護専門学校の特徴は以下のとおりです。

  • 臨床実習の時間が多い
  • 国家試験の合格率が高い
  • 学費が大学より比較的安い
  • 専門教育の質が高い
  • 年齢制限が緩い場合が多い

大学では幅広い教養科目も学びますが、専門学校ではより看護に特化したカリキュラムが組まれているのが魅力です。多くの看護専門学校では、少人数制で手厚い指導を受けられます。地域の医療機関との連携が強いため、即戦力となる人材育成を目指しているのが特徴です。

看護専門学校には、夜間や通信制のコースを設けている学校もあります。社会人や家庭との両立を考えている人にも学びやすい環境が整っています。就職支援も充実しているケースが多く、卒業後のキャリアプランニングにも役立つのが魅力です。

看護短大で学ぶ

看護短大では、2年制または3年制のカリキュラムで、短期間で集中的に看護の基礎知識と技術を学べます。看護短大は、実践的なスキルが身に付く実習や大学編入の機会があるのが特徴です。准看護師から正看護師への道として選択可能で、学費が比較的安いのも魅力です。地域の医療機関との連携が強いのも特徴となっています。

看護短大では少人数制で丁寧な指導を受けられるため、きめ細かなサポートを得ながら学習を進められます。国家試験対策も充実しているため、資格取得に向けた効果的な準備が可能です。短期間で看護師資格の取得を目指す人や、コストを抑えて学びたい人におすすめです。

5年一貫看護師養成課程校で学ぶ

5年一貫看護師養成課程では、高校卒業後5年間で看護師資格を取得できます。准看護師課程2年と正看護師課程3年を一貫して学び、高校在学中から看護の基礎を学べるカリキュラムが特徴です。実習や臨床経験が豊富に組み込まれており、医療や看護の知識を段階的に習得できます。

5年一貫看護師養成課程校で学ぶと、卒業と同時に正看護師として就職可能です。学費が大学よりも比較的安いため、経済的な負担が少ないのも魅力です。入学時の競争率が高い傾向にあるため、しっかりと準備しましょう。

准看護師試験と看護師国家試験の両方に合格する必要があり、学習面での努力も求められます。地域の医療機関との連携が強い場合が多いため、実践的な学びが受けられます。

社会人が看護師資格を取得する方法

社会人が看護師資格を取得する方法は、以下を参考にしてください。

  • 社会人向けの看護学校で学ぶ
  • 働きながら学ぶ
  • 学費負担を減らしながら学ぶ

社会人向けの看護学校で学ぶ

社会人向けの看護学校は、社会人学生のニーズに合わせた柔軟なカリキュラムを提供しているのが特徴です。多くの学校では、夜間や土日開講のコース、通信制やeラーニングを活用したプログラムがあります。社会人経験者向けの特別入試制度や2年制、3年制など修業年限の選択肢があるのも特徴です。

社会人向けの看護学校では、仕事や家庭との両立がしやすいのも魅力です。社会人学生の経済的負担を軽減するために、多くの学校が学費免除や奨学金制度を充実させています。年齢制限を設けていない学校も増えているため、幅広い年代の方が入学することが可能です。

実務経験を考慮したカリキュラム編成や、社会人学生向けの就職支援サービスを提供している学校もあります。

働きながら学ぶ

働きながら看護師資格を取得するには、効率的な時間の使い方が重要です。オンライン授業や通信教育を活用すると自分のペースで学習を進められます。夜間や週末クラスを受講したり、職場の理解と協力を得たりすると、働きながらでも学習できます。

時間管理とスケジューリングの徹底や効率的な学習方法の習得も大切です。グループを形成して互いに励まし合うのも効果的です。モバイルアプリの活用で通勤時間などの隙間時間も有効に使えます。適度に休息を取りながら、長期的な視点で学習を続けましょう。
» 理想の働き方を実現する!看護師の転職を成功させるポイント

学費負担を減らしながら学ぶ

学費負担を減らすには、奨学金制度の活用が効果的です。給付型奨学金を申請すれば、返済の必要がない支援を受けられる場合があります。返済が必要な奨学金でも、学費ローンよりも金利が低いためおすすめです。勤務先や自治体の支援制度を利用するのも有効です。

多くの医療機関では、看護師を目指す職員向けの教育支援制度を設けています。自治体によっては、看護師育成のための独自の支援制度を用意している場合もあります。学業と両立できる柔軟なシフトのアルバイトで収入を得るのもおすすめです。

看護師の国家試験の概要

看護師の国家試験の概要を、以下の4点に分けて解説します。

  • 受験資格
  • 試験科目
  • 勉強方法
  • 合格率

受験資格

看護師の国家試験は、看護師養成所を卒業見込みの方が対象です。保健師や助産師、看護師学校養成所指定規則で定められた科目を修了した人も受験できます。外国の看護師学校を卒業し、外国の看護師免許を持つ人で、厚生労働大臣が認めた場合も受験資格があります。

ただし、日本の看護師資格を取得するには、別途手続きが必要です。看護師国家試験予備試験に合格した人も受験可能です。予備試験は、正規の看護師養成課程を経ていない人のために設けられています。旧制度による看護婦学校または高等看護学校を卒業した人も対象です。

准看護師として3年以上働き、厚生労働大臣が指定した学校で2年以上学んだ人も受験資格があります。

試験科目

看護師国家試験の試験科目は、幅広い看護の知識を問う内容となっています。試験は必修問題と一般問題、状況設定問題の3つの形式で構成されているのが特徴です。試験の出題範囲は以下のとおりです。

  • 看護の基礎
  • 人体の構造と機能
  • 疾病の成り立ちと回復の促進
  • 健康支援と社会保障制度
  • 基礎看護学
  • 成人看護学
  • 老年看護学
  • 小児看護学
  • 母性看護学
  • 精神看護学
  • 在宅看護論
  • 看護の統合と実践

必修問題は75問出題され、一般問題は午前と午後にそれぞれ50問ずつ、合計100問出題されます。状況設定問題も午前と午後にそれぞれ30問ずつ、合計60問出題されます。

勉強方法

看護師国家試験の合格に向けて大切なのは、計画的な学習と効率的な知識の習得です。過去問を繰り返し解いて、出題傾向や問題の形式に慣れましょう。基礎的な医学知識をしっかりと身に付けるのも重要です。勉強方法は、以下を参考にしてください。

  • 模擬試験を活用する
  • 苦手分野を重点的に学習する
  • グループ学習で知識を共有する
  • 参考書や問題集を活用する
  • オンライン学習ツールを利用する

定期的な復習や実践的な看護技術を身に付けるのも大切です。時間配分の練習をすると、本番の試験でも余裕を持って解答できます。看護師経験者からアドバイスをもらうと、実践的な知識を得ることが可能です。最新の医療情報を確認すれば、最新の知識を身に付けられます。

合格率

看護師国家試験の合格率は90%前後で推移しています。2025年の第114回看護師国家試験の合格率は90.1%です。看護大学卒業者の合格率が最も高い傾向にあり、准看護師から進学した受験者の合格率は若干低めです。再受験者の合格率は、新卒者に比べて低い傾向があります。
» 厚生労働省|第114回看護師国家試験の合格発表(外部サイト)

受験者の学歴や経験によって合格率に違いがあるため、自分の状況に合わせた効果的な勉強方法を選びましょう。

看護師資格に関するよくある質問

看護師資格に関するよくある質問は、以下のとおりです。

  • 看護師資格を取得するまでの期間は?
  • 看護師国家試験の難易度は?
  • 看護師資格で働ける場所は?

看護師資格を取得するまでの期間は?

看護師資格を取得するまでの期間は、選択する教育課程によって異なります。正看護師になるには、3〜5年程度かかります。看護大学では4年間、看護専門学校や看護短大では3年間の学習期間が必要です。5年一貫看護師養成課程を選択すると5年間かかります。

准看護師から正看護師への進学コースでは2〜3年間、通信制看護学校では3〜4年間の学習期間が設けられています。国家試験の受験準備期間は、3〜6か月程度です。国家試験合格後、免許取得までには1か月程度かかります。

看護師国家試験の難易度は?

看護師の国家試験は、合格率は高いものの、試験内容は専門的で幅広い知識が必要です。試験は全部で240問あり、4時間という限られた時間で解答しなければなりません。状況設定問題は、複雑な症例に対する判断力が問われるため、難易度が高い傾向にあります。

合格基準は全体で6割以上、必修問題で8割以上を正解する必要があります。もし不合格でも翌年以降に再受験できるため、あきらめずにチャレンジしましょう。

看護師資格で働ける場所は?

病院やクリニック、介護施設や訪問看護ステーションなどの医療現場以外でも、以下のような場所で働けます。

  • 学校(養護教諭)
  • 企業(産業看護師)
  • 刑務所
  • 災害現場
  • 国際協力機関
  • 航空会社のフライトナース
  • クルーズ船の船医
  • スポーツチームのトレーナー
  • 保育園や幼稚園
  • 健康診断センター
  • 美容クリニック

看護師資格を持っていれば、自分の興味や適性に合わせて幅広い選択肢の中から働く場所を選べます。

まとめ

看護師資格の取得は、キャリアアップや新たな可能性を開く重要な一歩です。正看護師や准看護師、専門看護師、認定看護師など、さまざまな資格があります。資格取得の方法も多様で、看護大学や専門学校、短大など、自分のライフスタイルに合わせた選択が可能です。

看護師資格は、病院だけでなく多様な場所で活かせる魅力的な資格です。自分の目標や希望に合わせて、最適な取得方法を選びましょう。

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