- 今のまま看護師を続けていていいのか不安がある
- キャリアアップしたいけれど、何から始めればいいかわからない
- 看護師のキャリアの選択肢を知りたい
日々の看護業務に追われて「このままでいいのかな?」と将来のキャリアに悩んでいませんか?明確な将来設計がないまま看護師を続けることに、不安を感じる人も多いでしょう。
この記事では、看護師のキャリアアップの選択肢や必要な準備、役立つ資格などについて詳しく解説します。記事を読めば、看護師のキャリアアップの重要性がわかり、将来のキャリアを考えるヒントが得られます。
看護師のキャリアアップには、明確な目標を持ち、適切な選択肢を把握することが重要です。質の高い看護を提供するための資格やスキルの取得は、キャリアアップにも効果があります。
看護師のキャリアアップとは高度な看護業務や役職を目指すこと

看護師のキャリアアップとは、専門的知識や技術を身に付け、質の高い看護の提供や責任のある役職を目指すことです。以下に看護師のキャリアアップの重要性と、看護師のキャリアプランとキャリアパスの違いを解説します。
- 看護師のキャリアアップの重要性
- 看護師のキャリアプランとキャリアパスの違い
看護師のキャリアアップの重要性
看護師はキャリアアップによって専門的な知識や技術が身に付き、患者さんに合わせた質の高いケアを提供できるようになります。キャリアアップのメリットは、以下のとおりです。
- 専門性を高め、より質の高い看護を提供できる
- 多様な働き方ができる
- 職場で頼られる存在になる
- 仕事へのやりがいや、やる気が向上する
- 変化への適応力が身に付く
キャリアアップすることは昇給や勤務条件の改善も期待できるので、経済的な安心感や仕事への満足感も高まります。
看護師のキャリアプランとキャリアパスの違い
看護師のキャリアプランとは、目指す看護師像や価値観など、今後のライフプランを反映する長期的な目標設定です。「患者さんの心のケアもできる看護師になりたい」「管理職としてチームをまとめ、より良い看護を提供したい」などがあります。
キャリアパスは、設定したキャリアプランを実現するために必要な行動計画や、進むべきルートのことです。病院や施設によっては、昇進や部署異動の標準的なルートが示されている場合もあり、キャリアパスの一種と言えます。自分のキャリアプランが明確でなければ、キャリアパスは定まりません。
看護師のキャリアアップの選択肢

看護師のキャリアアップの選択肢は以下のとおりです。
- スペシャリストとして高度な業務を目指す
- ジェネラリストとして幅広く活躍する
- 管理職としてマネジメントに携わる
- 看護教育者や研究者を目指す
スペシャリストとして高度な業務を目指す
看護師のスペシャリストとは、特定の看護分野で深い知識と高い技術を身に付けた専門家です。専門看護師や認定看護師など、より専門性の高い資格取得も視野に入ります。
スペシャリストを目指すには、複雑な状況下でも的確に対応できる判断力が必要です。チーム医療では、自分の専門性を生かし、他のスタッフへのアドバイスや教育を担う役割も期待されます。スペシャリストとして一つの分野を深く追求することで専門性を高め、より高度な業務に挑戦できます。
ジェネラリストとして幅広く活躍する
ジェネラリストとは特定の分野に縛られず、幅広い知識や技術を身に付けて活躍する看護師です。患者さんに合わせた総合的な看護能力が養われるため、医療チームの中で臨機応変に動ける貴重な存在になれます。ジェネラリストを目指すには、複数の診療科や部署の経験を通して、看護の視野を広げながら対応力を高める必要があります。
ジェネラリストには、患者さんや他のスタッフとの円滑なコミュニケーション能力も欠かせません。幅広い経験を生かして、訪問看護やクリニックなど、地域に密着した医療を担う道もあります。
管理職としてマネジメントに携わる

管理職としてマネジメントに携わると、スタッフの指導や育成、働きやすい環境づくりなどに貢献できます。看護師長や看護部長といった役職を目指すことで、チームをまとめながら、より良い看護を提供するための体制作りに関われます。
スタッフのキャリアを支え、目標達成を手伝ったり職場環境を改善したりすることも、管理職の大切な仕事です。管理職には、病院や施設の経営に関わる視点やスキルが求められる場合もあります。責任は重くなりますが、組織を動かすやりがいや達成感を感じられます。
看護教育者や研究者を目指す
看護師の経験を生かし、人材育成や看護学の発展に貢献したい場合は、看護教育者や研究者が向いています。看護教育者や研究者は、看護の専門性を深めながら、より良い看護の実現に貢献できる仕事です。
看護教育者は看護師養成機関で学生を育成したり、院内教育で新人看護師やスタッフに教育したりします。看護研究者は、学会での発表や論文執筆を通じて研究成果を広め、看護学の進歩に努めます。
看護師のキャリアアップに必要なこと

看護師のキャリアアップは情報収集から始め、ステップを踏んで進めてください。看護師のキャリアアップのステップは以下の手順を踏みます。
- 情報収集
- 目標に向けた具体的な行動計画
- セミナーや研修への参加
- 資格取得やスキルアップ
情報収集
看護師のキャリアアップでは、自分に合った最新の情報を集めます。キャリアアップに役立つ情報は以下のとおりです。
- 業界動向・ニュース
- 先輩看護師の体験談
- キャリアパス詳細
- 資格取得情報
- セミナー・学会情報
- 勤務先の支援制度
キャリアアップを支援するサポートや研修制度を確認しておくと、サポートを活用しながらキャリアアップに取り組めます。看護師専門のキャリア相談窓口や、エージェントを利用する方法もあります。転職を視野に入れる場合は、キャリアアップ後の求人情報も確認しておきましょう。
目標に向けた具体的な行動計画
キャリアアップを目指すために、具体的な行動計画を立てましょう。計画を立てることで目標が明確になるので、目標達成に必要な行動を迷わず取れるようになります。「認定看護師になりたい」「ジェネラリストとして幅広い看護を身に付けたい」など自分が目指すキャリアの方向性を決めましょう。
決めたキャリアの方向性に必要な資格やスキルを調べ、段階的に計画を立てると無理なく行動にうつせます。認定看護師や専門看護師など、職場を離れて長期間の研修が必要な場合は、早めに上司に相談しましょう。
セミナーや研修への参加

セミナーや研修への参加により、得られるメリットは以下のとおりです。
- 知識・技術の習得
- 専門性の深化
- 情報交換
- キャリアプランの形成
- モチベーションの向上
院内で行われる研修の他に、院外の学会や研修会もキャリアアップの選択肢としてあります。最近では、自宅で学べるオンラインセミナーやeラーニングなどもあり、受講の機会が増えています。
資格取得やスキルアップ
資格取得やスキルアップにより自分の可能性を広げ、より多くの場面で活躍できる看護師になれます。以下のような資格やスキルが看護師のキャリアアップに効果的です。
- 専門看護の知識・技術深化
- リーダーシップ・指導力の研修
- コミュニケーション力の向上
- 最新知識・技術習得
- 専門資格取得
オンライン学習を活用すれば、今の業務と並行しながら資格取得やスキルアップも可能です。身近にメンターがいる場合は、相談したり助言を受けたりすることで、安心感を得られます。
» 看護師の資格の種類とは?取得方法と働き方を解説!
看護師のキャリアアップに役立つ資格

看護師のキャリアアップには、質の高いケアを提供するための資格取得が効果的です。看護師のキャリアアップに役立つ資格は、以下のとおりです。
- 認定看護師
- 専門看護師
- ケアマネージャー
- 保健師
- 助産師
認定看護師
認定看護師は、特定の看護分野において高い技術と知識を持つと認められた看護師のことで、日本看護協会が認定しています。専門分野での高度な看護実践や看護師への指導、患者さんや他の職種の人への相談対応といった重要な役割を担っています。認定看護師になるために必要な条件は、以下のとおりです。
- 通算5年以上の実務経験(うち3年以上は認定看護分野の実務研修)
- 認定看護師教育課程の修了
- 認定審査の合格
認定看護師には救急看護や緩和ケア、感染管理など多岐にわたる専門分野があります。認定看護師の資格を取得すると、専門的な知識や技術が認められ、チーム医療の中で専門家として貢献できるようになります。認定看護師は5年ごとに書類審査による更新が必要です。
» 認定看護師になるための流れや注意点、費用を解説
専門看護師

専門看護師は、日本看護協会が認定している特定の専門分野に優れた知識を持つ看護師です。専門看護師は高度な知識と技術を生かして、患者さんやご家族に質の高いケアを提供します。専門看護師になるために必要な条件は、以下のとおりです。
- 5年以上の看護師実務経験(3年以上は専門看護分野での実務研修)
- 看護系の大学院で修士課程を修了し、決められた単位の取得
- 書類審査と筆記試験による認定審査への合格
資格の有効期限は5年で、書類審査による更新が必要です。専門看護師が活躍する分野は2023年12月時点で、がん看護や精神看護など14の専門分野があります。
» 専門看護師を目指す前に知っておきたいメリットと2つの条件
» 認定看護師と専門看護師の違いを徹底解説
ケアマネージャー
ケアマネージャーは介護支援専門員と言います。高齢の方や介護が必要な方に介護サービスの計画(ケアプラン)を作ったり、関係機関との連絡調整をしたりする専門職です。看護師として培ってきた医療の知識や、さまざまな職種の人たちと連携してきた経験が役立ちます。
ケアマネージャーを取得するには、看護師として5年以上の実務経験または、従事した日数が900日以上必要です。専門の試験に合格し、研修を修了するとケアマネージャーの登録・申請が行えます。主な勤務場所は、居宅介護支援事業所や介護施設、地域包括支援センターで、日中の勤務が多い傾向にあります。
保健師

保健師は、地域の人々の健康を守り、病気を予防するための専門家です。看護師の経験や知識を生かしながら、より広い視点で人々の健康づくりに関われます。保健師になるには、保健師過程を履修したうえで、看護師国家試験と保健師国家試験の合格が必要です。
保健師の仕事内容は、健康相談への対応や保健指導、地域住民の健康増進を目的としたイベントの企画・運営など多岐にわたります。主な勤務場所は、行政機関や企業、学校です。
助産師
助産師は、妊娠中から出産、産後の期間まで、お母さんと赤ちゃんに寄り添い、心身両面のケアを行います。正常な経過のお産であれば、医師の指示がなくても助産師が主体となってお産の介助が可能です。助産師の仕事は以下のとおりです。
- 健康管理・準備アドバイス
- お産介助
- 産後ケア
- 赤ちゃんの健康チェック・お世話指導
- 育児相談・家族計画アドバイス
助産師になるには助産師養成課程を1年履修し、助産師国家試験に合格する必要があります。助産師には看護師資格が必要です。助産師課程のある大学で看護師過程と同時に学ぶ場合と、看護師免許取得後に助産師養成機関で学ぶ場合があります。主な勤務場所は、病院の産科や産婦人科クリニック、助産所です。
助産師は、新しい生命の誕生に立ち会えるやりがいのある仕事ですが、お母さんと赤ちゃんの命を預かる大きな責任を伴います。専門知識や、とっさの判断力が求められ、コミュニケーション能力も必要です。
看護師のキャリアアップに関するよくある質問

看護師のキャリアアップに関するよくある質問は以下のとおりです。
- キャリアアップに適した時期は?
- 資格取得にはどのくらいの時間がかかる?
- キャリアアップを目的とした転職はあり?
キャリアアップに適した時期は?
看護師のキャリアアップに適した時期は一人ひとりの経験や目標、ライフステージなど個人の状況により異なります。キャリアアップを考えるきっかけを以下にまとめました。
- 基本的な看護業務に慣れてきたとき(臨床経験3~5年程度)
- 子育てが落ち着いて、自分に時間を使えるようになったとき
- 今の仕事に慣れて、新しいことを学びたくなったとき
- リーダー業務や後輩指導を通して、人材育成に興味が出てきたとき
- 認定看護師や専門看護師など極めたい分野が出てきたとき
看護師経験の積み重ねや生活環境の変化など、自分の状況や気持ちに変化がみられるタイミングに多く見られます。
資格取得にはどのくらいの時間がかかる?

新たな資格取得に必要な時間は、資格の種類や取得方法により異なります。
| 資格名 | 期間 | 必要な実務経験 |
| 認定看護師 | 教育課程:6か月以上 | 通算5年以上(3年以上は認定看護分野の実務研修) |
| 専門看護師 | 大学院修士課程:2年間 | 5年以上の実務経験(3年以上は専門看護分野での実務経験) |
| ケアマネージャー | 試験勉強:数か月~1年程度 | 特定業務で5年以上 |
| 保健師 | 養成課程:1年以上 | 看護師資格が必要 |
| 助産師 | 養成課程:1年以上 | 看護師資格が必要 |
ケアマネージャーは試験の合格後に約87時間の実務研修が必要です。働きながら資格取得を目指す場合は、さらに時間がかかる場合もあります。
キャリアアップを目的とした転職はあり?
キャリアアップの目標を達成するための転職は、自分のキャリアを豊かにします。キャリアアップの機会が少ないと感じる場合や専門性の高い分野で働きたい、役職に就きたいと考える場合は転職が効果的です。
新しい職場環境や職場での出会いがスキルを高め、視野を広げる良いきっかけになることもあります。転職を考える際には、今の職場でスキルアップできる可能性も検討してみましょう。転職するか悩む場合は、転職の専門家に相談して、客観的な意見を求めるのもおすすめです。
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まとめ

看護師のキャリアアップは、専門性を高めより高度な看護を実践したり、役職を目指したりすることを言います。看護師のキャリアアップにおける選択肢は以下のとおりです。
- スペシャリスト
- ジェネラリスト
- 管理職
- 教育者や研究者
キャリアアップを実現するためには、情報収集を経て明確な目標を設定し、段階を踏んだ計画を立てることが大切です。キャリアを高めるためのセミナーや研修へ参加したり、必要な資格を取得したりしましょう。資格の取得により活躍の場が広がり、より質の高い看護ケアの提供にもつながります。