人の命を預かる看護師の仕事に誇りを持ちつつも、あまりの大変さに「もう辞めたい」と感じていませんか?責任の重さや不規則な勤務体系、職場での複雑な人間関係により、看護師は心身ともに負担がかかります。患者のケアに加え、クレーム対応や事務作業なども看護師の精神的な負担を増加させる要因です。
この記事では看護師の仕事で大変なことや、乗り越えるための方法などを解説します。記事を読めば、大変な中でも看護師として働き続けるメリットがわかり、自分に合った働き方が見つかります。
大変なときは1人で抱え込まず、信頼できる人に相談したり異動や転職で環境を変えたりして乗り越えましょう。自分らしい働き方が見つかると看護師としてのやりがいを再び感じられます。
看護師の仕事でつらいことや大変なこと

看護師の仕事はやりがいがある一方で、看護師特有のつらいことや大変なことも多くあります。看護師の仕事で大変なことの例は以下のとおりです。
- 知識を更新し続けることへのプレッシャーがある
- ミスが許されない責任感がある
- 夜勤や不規則な勤務の影響を受ける
- 職場の人間関係が複雑で気を遣う
- 患者とのコミュニケーションに伴う重圧がある
知識を更新し続けることへのプレッシャーがある
医療の世界は日々進歩しており、新しい治療法や薬が次々と登場します。看護師は患者の安全を守り、最適なケアを提供するために常に最新の知識を学び続ける必要があります。知識の更新が求められる場面の例は以下のとおりです。
- 新技術・新薬の情報収集
- ガイドラインの学習
- 後輩や新人の指導
- 専門・認定資格の取得
忙しい中で勉強時間を確保しなければならず、休む時間を削られることが看護師の大きな負担となっています。
ミスが許されない責任感がある

看護師の仕事は人の命を直接預かるため、小さなミスも許されません。看護師は常に高い緊張感を持ち続け、緊急時には正しい判断を素早く下す必要があります。責任の重さは看護師にとって精神的に大きな負担です。
看護師は患者や家族からの期待や強いプレッシャーを感じながら、投薬や点滴、注射などの業務を慎重にこなす必要があります。
夜勤や不規則な勤務の影響を受ける
人間の体は昼に活動して夜に休むリズムが基本です。夜勤や不規則な勤務が続くと生活リズムが乱れ、さまざまな不調が出やすくなります。夜勤や不規則な勤務が看護師に及ぼす影響は以下のとおりです。
- 不眠や日中の強い眠気に悩まされる
- ホルモンバランスが乱れて生理不順や肌荒れが起こる
- 自律神経が乱れて頭痛やめまい、慢性的なだるさを感じる
- 深夜に食事をする機会が増え、体重が増加する
- 不規則な食生活で胃腸の調子が乱れる
- 慢性的な疲労で集中力が下がる
- 友人や家族と休日が合わず、関係が希薄になる
看護師は不規則な勤務によって仕事のパフォーマンスが低下し、プライベートを楽しむ余裕もなくなります。
» 看護師の仕事内容|勤務先や給与もまとめてチェック!
職場の人間関係が複雑で気を遣う

看護師は女性が多い職場環境の中で、複雑な人間関係に気を遣う場面が多くあります。医師や先輩、後輩などのさまざまな立場の人と関わるため、看護師は常に周囲への配慮が必要です。先輩の顔色をうかがったり、うわさ話や陰口をうまくかわしたりする中で看護師は気疲れや大変さを感じます。
命を預かる緊張感から、看護師同士の交わす言葉が厳しくなる場面もあります。看護師は他職種との連携も欠かせないため、円滑な関係を築くためのコミュニケーション能力が必要です。
患者とのコミュニケーションに伴う重圧がある
看護師は常に相手の気持ちに寄り添う姿勢が求められるため、自分の感情を抑えなければならない場面が多くあります。看護師が患者とのコミュニケーションで重圧を感じる場面は、以下のとおりです。
- 患者や家族が抱える不安や怒り、悲しみを正面から受け止めるとき
- 治療への不満や理不尽な要求に感情を抑えて対応するとき
- 意思疎通が難しい患者の対応をするとき
- 終末期の患者や家族に寄り添い、死をみとるとき
- 忙しさで、一人ひとりの患者と向き合えずにもどかしさを感じるとき
看護師には病気やけがと闘う患者や、患者の家族が抱えるさまざまな感情を受け止める役割があります。患者とのコミュニケーションを通して精神的な負担が積み重なると、看護師は大変さを感じます。
看護師が職場で感じる大変さや特有の悩み

看護師の仕事には、職場環境から生まれる特有の悩みが存在します。看護師が職場で感じる大変さや特有の悩みは以下のとおりです。
- 残業と過重労働が多い
- 休暇が取りにくい環境にある
- 精神的・感情的な負担がかかる
残業と過重労働が多い
看護師は定時で帰ることが難しく、残業や過重労働の大変さに悩む人が多くいます。看護師の残業や過重労働が増えやすい理由は以下のとおりです。
- 緊急入院や患者の急変対応がある
- 看護記録や書類作成などの事務作業が多い
- 勤務時間外の研修や勉強会に参加する必要がある
- 看護師同士の申し送りに時間がかかる
- 残業しても残業申請しにくい雰囲気がある
- サービス残業が当たり前の環境にある
患者のケア以外にも多くの業務があることが看護師の大変さにつながっています。命に関わる看護の現場では予測できない出来事が多く、慢性的な人手不足も重なって一人ひとりの業務量が増える傾向にあります。
休暇が取りにくい環境にある

看護師の職場は人手が足りない場合が多く、休みたくても休めない状況に陥りやすくなっています。他の看護師と休暇希望が重複した場合は予定をずらす必要があり、自分の希望通りにはなかなか休暇を取れません。せっかくの休日でも緊急の場合は呼び出される場合もあるため、ゆっくり休むことは困難です。
職場環境や休むことへの罪悪感も重なって、看護師は心身をリフレッシュするための休暇を取りづらくなっています。
精神的・感情的な負担がかかる
看護師の仕事は患者の苦しみや死と向き合う必要があるため、目に見えない精神的・感情的な負担がかかります。クレーム対応や終わらない事務作業なども看護師の精神的な負担を増加させる要因です。看護師はどんなに大変な状況でも自身の感情を抑え、冷静な対応をする必要があります。
看護師は人の命を預かるため常に心を張り詰めた状態で仕事をする必要があり、気づかないうちに疲弊してしまいます。
看護師が大変な状況を乗り越えるための方法

看護師が仕事の大変さを乗り越えるためには、心身の負担が大きくなる前に対処する必要があります。看護師が大変な状況を乗り越えるための方法は以下のとおりです。
- 信頼できる同僚や上司に相談する
- 必要に応じて異動や転職を考える
信頼できる同僚や上司に相談する
看護師の仕事が大変なときは1人で抱え込まず、信頼できる同僚や上司に相談しましょう。悩みを言葉にして誰かに聞いてもらうだけでも心は軽くなります。
経験豊富な上司や先輩に相談すれば、客観的な視点から具体的な解決策を得られます。勇気を出して相談すれば業務量の調整や役割分担の見直しにつながり、職場環境の改善が可能です。同じ看護師の同僚に話せば、共感を得られて「大変なのは自分だけじゃない」と感じられます。
相談するときは信頼できる人を選び、相手の都合も考慮しましょう。愚痴を言うだけでなく前向きな視点で話をすると、相手との関係を保ちながら悩みを打ち明けられます。
必要に応じて異動や転職を考える
同僚や上司に相談しても大変な状況が改善しない場合、異動や転職で職場環境を変える方法もあります。仕事の大変さの原因が職場環境にある場合は、職場から離れない限り根本的な解決が困難です。病棟から外来など、同じ病院内でも負担の少ない部署への異動ができないかを上司に相談しましょう。
異動や転職が成功すれば、職場の人間関係や仕事のプレッシャーなどの悩みが解消されます。誰に相談しても状況が改善せず、心身に不調が出てしまったときは自身の健康を最優先に考える良い機会です。看護師には病院以外にもクリニックや介護施設、訪問看護などの多様な働き方があります。
自分の健康を守るための選択肢として異動や転職を検討しましょう。
看護師が仕事の大変さの中で感じるやりがい

看護師の仕事は大変な分、以下のやりがいを感じられます。
- 患者の笑顔や感謝の言葉が励みになる
- 仲間と協力して患者を支える一体感がある
患者の笑顔や感謝の言葉が励みになる
看護師の仕事では患者の笑顔や感謝の言葉が何よりの励みになります。看護師の仕事の魅力は自分の存在が誰かの助けになっていると直接感じられる点です。自分のケアによって患者の苦痛が和らぎ、回復に向かう姿を間近で見られることは看護師ならではの大きなやりがいです。
患者から「ありがとう」と言われたときや、元気に退院する姿を見送るときに看護師は大きな喜びを感じます。
仲間と協力して患者を支える一体感がある
看護師の仕事は常にチームでの連携が必要です。大変な状況でも、看護師の仕事はチームの仲間と協力することで乗り越えられる場面が多くあります。医師や他の専門職、同僚と力を合わせることで看護師は患者にとって最善のケアの提供が可能です。
看護師の仕事では急変対応や難しい事例の際も、仲間がいる心強さがあります。チームの仲間と協力して困難を乗り越える中で看護師は大きく成長できます。
看護師が大変な中でも働き続けるメリット

大変な中でも看護師の仕事を続けるメリットは以下のとおりです。
- 安定した収入と高い需要で将来に安心感が持てる
- “手に職”があるため、どこでも働ける
安定した収入と高い需要で将来に安心感が持てる
看護師は専門職として経済的安定を得られる職業です。看護師は給与水準が高く、景気に左右されにくいため自立した生活を送れます。夜勤手当や資格手当がつくと看護師の収入はさらに上がります。高齢化社会の日本において看護師の需要は高く、就職難の心配が少ない点も魅力です。
看護師は人手不足のため、一度離職しても再就職しやすい傾向にあります。
» 看護師の資格の種類とは?取得方法と働き方を解説!
“手に職”があるため、どこでも働ける
看護師は国家資格で「手に職」があるため、場所を選ばずに自由に働けます。ライフステージの変化にも柔軟に対応できる点が看護師の魅力です。看護師の国家資格は日本全国で通用し、医療機関や介護施設などで常に需要があります。病院以外でも、以下の職場で自分のスキルや経験を生かして活躍できます。
- クリニック
- 訪問看護ステーション
- 介護施設
- 企業の健康管理室
結婚や出産で看護師の仕事を離れたり配偶者の転勤で引っ越したりした場合でも、資格があれば新しい環境ですぐに働けます。
» 【職場別】看護師がやりがいを感じる瞬間を解説
看護師が大変さを感じて転職を考えるときのポイント

看護師の仕事の大変さから転職を考える際は、後悔しないための事前準備が必要です。漠然と転職活動を始めると同じ悩みを繰り返すことになるため、注意しましょう。看護師が転職を考えるときのポイントは以下のとおりです。
- 自分の希望する働き方を明確にする
- 転職エージェントを使って理想の職場に出会う
自分の希望する働き方を明確にする
看護師が転職を成功させるためには、自分の希望する働き方を明確にする必要があります。希望する条件が曖昧なままだと、転職後に「こんなはずじゃなかった」と後悔してしまいます。看護師が転職を考える際は以下の項目について、希望条件を整理してみましょう。
- 勤務形態
- 給与
- 残業時間
- 休日
- 施設の種類
- 診療科
- キャリアパス
希望条件に優先順位をつけておくと、自分に合った職場を効率的に探せます。自分にとって譲れない条件と妥協できる条件を整理し、納得のいく職場選びをしましょう。
転職エージェントを使って理想の職場に出会う
転職エージェントを活用すると、看護師が1人で転職活動をするよりも希望に合った職場に出会える可能性が高まります。転職エージェントで受けられるサポートの例は以下のとおりです。
- 非公開求人の紹介
- 企業の内部情報の提供
- 選考対策のサポート
- 条件交渉や日程調整などの代行
転職エージェントでは転職の専門家であるキャリアアドバイザーがあなたの経験や希望を聞き取り、最適な職場を提案します。専門家の力を借りると忙しい中でも効率的に転職活動が進み、納得のいく職場選びが可能です。
» 理想の働き方を実現する!看護師の転職を成功させるポイント
» おすすめの看護師転職エージェント5選を詳しく紹介!
看護師の仕事の大変さとやりがいのバランスを見直そう

看護師は専門職として経済的安定を得られる職業です。一方で看護師の仕事は人の命にかかわる責任の重さや、不規則な勤務体系などの大変さがあります。大変なときは1人で問題を抱え込まず、周囲の力を借りたり職場環境を見直したりして対処しましょう。
看護師の仕事の大変さがやりがいを上回り、心身に不調が出てしまったときは異動や転職も検討してください。自分の希望する働き方を見つめ直し、希望条件に優先順位をつけると自分に合った職場が見つかります。転職エージェントも活用し、効率的に理想の職場を見つけましょう。