
- 看護師って休みが少ないと聞くけれど、実際どうなの?
- 夜勤続きで体が休まらない
- 希望休を出しても、なかなか通らなくて困っている
患者さんのために尽力し、日々やりがいを感じる一方で、休みが思うように取れず悩んでいる看護師は少なくありません。この記事では、看護師の平均年間休日数や、勤務形態による休みの違い、休みが少ないと感じる理由などを詳しく解説します。
記事を読むことで、自分に合った働き方を見つけるヒントが得られます。看護師は工夫次第でしっかり休むことが可能です。看護師の休みの現状を正しく理解し、自身に合った休み方を見つけましょう。
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看護師の休みの概要

看護師の休みの概要を、以下の項目に分けて解説します。
- 看護師の平均年間休日数
- 看護師の年次有給取得可能日数
- 看護師の有給休暇取得率
看護師の平均年間休日数
看護師の平均年間休日数は、110~120日程度です。日本看護協会の2023年の調査によると、正規雇用で働く看護師の平均年間休日数は約120日と報告されており、一つの目安となっています。大学病院や大規模病院では、看護師の年間休日が120日を超える場合も多く、比較的休みが多い傾向にあります。
クリニックの場合、カレンダー通り土日、祝日が休みとなるため、看護師は年間で120日以上が休みになる傾向です。ただし、クリニックが土曜日に診療を行っているかなどで、看護師の年間休日数は変動します。介護施設や訪問看護ステーションでは、看護師の年間休日数が105~115日くらいが一般的です。
看護師の年次有給取得可能日数

看護師が仕事を始めてから一定期間が経過すると、法律にもとづいて年次有給休暇を取得できます。年次有給休暇は、入職してから6か月間継続して勤務し、決められた出勤日数の8割以上働いた場合に10日間付与されます。年次有給休暇は、勤続年数に応じて取得できる日数が増えていく仕組みです。
看護師が勤続年数に応じて、取得できる年次有給休暇の日数は以下のとおりです。
勤続年数 | 取得できる休みの日数 |
勤続1年6か月 | 11日 |
勤続2年6か月 | 12日 |
勤続3年6か月 | 14日 |
勤続4年6か月 | 16日 |
勤続5年6か月 | 18日 |
勤続6年6か月以上 | 20日 |
パートタイムで働いている看護師の場合でも、働く日数に応じて、年次有給休暇が比例して付与されます。
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看護師の有給休暇取得率
看護師の有給休暇の取得率は、他の産業と比べてやや高い傾向にあります。国が行った調査では、医療・福祉分野で働く人の年次有給休暇取得率は65.7%といった結果が出ています。医療・福祉分野で働く人の年次有給休暇取得率である65.7%は、すべての産業の平均である62.1%よりも高い数値です。
別の調査でも、看護職員の有給休暇取得率は65.3%でした。2019年からの働き方改革で、年に5日間は有給休暇を取ることが義務付けられたことも、看護師の有給取得率が上がっている理由の一つと考えられます。しかし、看護師が全員、希望通りに有給休暇を取れているわけではありません。
働く場所のスタッフの数や職場の雰囲気によって、有給休暇の取りやすさに違いがあることが現状です。
看護師の勤務形態による休みの違い

看護師の勤務形態による休みの違いを、以下の項目に分けて解説します。
- 週休形態の休み
- 2交代制と3交代制の休み
- 特殊勤務形態の休み
週休形態の休み
看護師の休みは、勤務先がどのような「週休形態」を取っているのかによって大きく変わります。「週休何日」といっても、週休形態で休日の日数や曜日の決まり方が異なるためです。週休形態の種類ごとの特徴は以下のとおりです。
週休形態の種類 | 特徴 |
週休2日制 | 毎週2日の休みがある働き方 土日休みの場合もあれば、シフトによって平日が休みになることも |
4週8休制 | 4週間で8日の休みが取れるシフト制で、看護師の勤務でよく採用される形態 |
完全週休2日制 | 毎週必ず2日間の休みが保証される働き方 |
週休2日制(月単位) | 月に1回以上、週2日の休みがあり、他の週は休日が1日になる場合もある形態 |
祝日が休みになるかどうかは、週休形態とは別に、看護師の勤務先のルールによって変わるので注意が必要です。
2交代制と3交代制の休み

2交代制と3交代制では、休みの取り方や休日の過ごし方に違いが見られます。2交代制は、1回の働く時間が長くなりやすいです。夜勤が終わった次の日は休みになる場合が多いので、まとまった休みを取りやすいことが2交代制の特徴です。
「夜勤に入る日・夜勤が終わった日・休み」といった流れだと、休みが2日以上続くように感じられる場合もあります。2交代制における休日の数は3交代制より少ない場合もありますが、1回の休みでリフレッシュできると感じる看護師も多くいます。2交代制では、夜勤は月に4~5回程度です。
3交代制の特徴は、1回の働く時間が短いことです。しかし、日勤や準夜勤、深夜勤と勤務時間が細かく分かれているため、3交代制では休みも短く区切られます。3交代制では、夜遅くまでの勤務が終わった次の日に、朝からの勤務が入る場合もあります。
休みの日の数は2交代制よりも多い場合があるものの、3交代制で休みが短く疲れが取れないと感じる看護師も多い傾向です。3交代制での夜勤は、準夜勤と深夜勤を合わせて月に7~8回程度が一般的となっています。
特殊勤務形態の休み
特殊な勤務形態では、看護師の勤務時間や業務内容が通常と異なるため、勤務形態に合わせた休日の仕組みが整っています。代表的な特殊勤務形態と休日の仕組みを、以下にまとめます。
- 夜勤専従
- 夜間勤務専門で、1回の勤務が長い分、夜勤明けと翌日が休みになる場合が多く、月間の出勤日数が少なくなります。
- パートタイム・非常勤
- 契約した曜日や時間以外は休日となり、週2~3日といった柔軟な働き方が可能です。
- 派遣看護師
- 契約期間満了後に長期休暇を取得しやすいです。
- 訪問看護
- 事業所により土日祝日が休みとなる場合が多いですが、オンコール当番の日は自宅で待機する必要があります。
- オペ室看護師
- オンコール体制がありますが、当番日に呼び出しがなければ休みとして過ごせます。
- トラベルナース・応援ナース
- 契約期間終了後にまとまった休日を取りやすいです。
- 企業看護師・産業看護師
- 勤務先の企業カレンダーに準じ、土日や祝日、年末年始・夏季休暇などが取得しやすい傾向です。
- 保育園看護師・学校看護師
- 園や学校の休みに合わせて土日や祝日が休みとなり、長期休暇も取得できます。
看護師の休みが少ないと感じる理由

看護師の休みは少ないと感じる理由は、以下のとおりです。
- 土日や祝日に出勤することが多い
- 休みが不定期で連休が取れない
- 夜勤明けが実質的に休みとみなされる
- 休日出勤や残業が求められる
- 希望休が通りにくい
土日や祝日に出勤することが多い
看護師は土日や祝日に出勤することが多い職業です。医療機関は1年365日、24時間体制で活動し、土日や祝日でも患者さんのケアや緊急時の対応が求められます。医療現場では看護師の人数が限られており、全員が土日や祝日に一斉に休むことは難しい状況です。
冠婚葬祭のような事情がなければ、土日や祝日における看護師の休み希望は通りにくくなります。休日手当などを目指して、意識的に土日や祝日に働く看護師もいます。
休みが不定期で連休が取れない

看護師はシフト勤務のため、休みが不定期で連休も取りにくいと感じる場合があります。休みが少ないと感じる背景には、他のスタッフとの勤務調整の必要性と、人員不足による急なシフト変更や休日出勤があります。休みが不定期で連休が取れないことで、看護師が苦労する点は以下のとおりです。
- 休日の曜日が固定されず、毎週異なる
- 年末年始やお盆休みなども、まとまった連休が取得しづらい
- 家族や友人とのスケジュール調整が困難になる
- プライベートの充実感が得られにくいと感じることがある
- 慢性的な疲労感が抜けにくい
夜勤明けが実質的に休みとみなされる
夜勤明けの日は、勤務表のうえでは「明け休み」として休日扱いになる場合があります。しかし、夜勤明けの日に「しっかり休めた」と感じられない看護師が多いことが現状です。夜勤による体への負担や生活リズムの乱れから、夜勤明けの日は、看護師は心身の回復に時間がかかります。
看護師の夜勤明けに起こりやすい状況は以下のとおりです。
- 午前中に仕事が終わっても、帰宅後は疲れて寝てしまうだけで1日が終わる
- 体内時計が狂ってしまい、寝不足やだるさを感じて思うように活動できない
- 次の勤務までの時間が短く、十分に心身をリフレッシュする時間が取れない
休日出勤や残業が求められる

看護師の仕事は、予定していた時間通りに終わらなかったり、休みの日に出勤をお願いされたりする場合があります。看護師が時間外勤務や休日出勤を求められる大きな要因の一つとして挙げられるのが、慢性的な人員不足です。看護師の数が不足している職場では、必然的に個々の看護師にかかる業務負担が増大します。
急な欠員が出た際には、他のスタッフが休日出勤や残業を余儀なくされたりするケースも多くあります。患者さんの状態は常に一定ではなく、予測不能な変化が起こり得ることも、看護師の時間外勤務を生む一因です。
希望休が通りにくい
看護師の職場で希望休が通りにくいと感じる大きな要因として、慢性的な人手不足が挙げられます。常に最低限の人員で業務を運営しているため、誰かが休むと他のスタッフへの負担が増大し、個々の希望が通りにくくなります。月に申請できる希望休の日数に上限が設けられている職場も多く、休日を自由に取得しにくい環境です。
他のスタッフと希望日が重なることも、看護師の希望休が通りにくい大きな理由です。週末や連休など、多くの看護師が同時に休みを希望する場合、全員の要望に応えることは物理的に困難になります。患者数の増加と院内行事が重なる繁忙期は、通常より多くの人員が必要となるため、休暇の取得が難しくなる傾向です。
看護師が希望通りに休みを取る方法

看護師が希望通りに休みを取る方法は、以下のとおりです。
- 早めに休みの希望を伝える
- スタッフ間で助け合う
早めに休みの希望を伝える
看護師が希望通りに休日を取得するためには、事前の準備と適切な申請が重要です。看護師が早めに休みの希望を伝えると、シフト作成者が調整しやすくなり、希望が通りやすくなります。勤務先のシフト作成スケジュールを事前に把握し、期限内に申請しましょう。
結婚式や葬儀といった変更の難しい行事は、日程が確定次第、シフト担当者に報告します。連休などの長期休暇は、数か月前に相談すると、人員配置を検討する時間の確保が可能です。希望休を申請する際は、口頭だけでなく書面で提出すると記録に残り、確実です。
休みの希望に簡潔に理由を添えると、周囲の理解が得やすくなります。週末や祝日など、一般的に休みの希望者が集中しやすい日程も、早期の申請が有利に働く傾向です。
スタッフ間で助け合う
看護師の希望休が特定の日に集中した場合、互いの状況や希望の重要度を理解し合い、譲り合いましょう。誰かが急な体調不良や家庭の事情で休む際には、他のスタッフが快く勤務を代わるなど協力体制も重要です。スタッフ同士が互いに思いやりを持つと、休みが取りやすくなるだけでなく、チーム全体の連帯感も強まります。
希望通りの休日は、個人の権利であると同時に、チーム全体の協力によって支えられます。
看護師の休みに関するよくある質問

看護師の休みに関するよくある質問は以下のとおりです。
- 新卒の看護師は休みを取りやすい?
- クリニック勤務の看護師は休みは少ない?
- 休みを取りやすい看護師の職場は?
新卒の看護師は休みを取りやすい?
新卒の看護師が休みを取りやすいかどうかは、配属される病院や病棟の環境によって大きく変わります。入職して間もない教育期間中は覚えるべき業務が多く、研修などが予定されているために希望の休みが通りにくいケースがあります。
先輩看護師に遠慮してしまい、なかなか休み希望を言い出せないと感じる新卒の看護師も多い傾向です。人手不足の職場では、新卒の看護師でも休みを取りづらい状況になります。しかし、必ずしも新卒の看護師は休みが取りにくいわけではありません。
師長や先輩看護師が新人の状況を理解し、積極的に休めるよう配慮してくれる職場も存在します。
» 看護職の種類と役割を徹底解説!
クリニック勤務の看護師は休みは少ない?

クリニック勤務の看護師の休みは、必ずしも少ないわけではありません。クリニックの方針や規模によって、看護師の休日の日数は大きく異なるためです。多くのクリニックが日曜・祝日を休診日としており、カレンダー通りの休みが期待できます。
夜勤がない場合が多いため、生活リズムが整いやすく、休日を有効に使える点もクリニック勤務の魅力です。お盆や年末年始にまとまった連休が取れるクリニックも多い傾向です。クリニックによっては年間休日数が他の職場に比べて少なかったり、少人数体制のためスタッフ間の調整が難しかったりします。
クリニックによっては、有給休暇や急な休みが取りにくい場合もあるため、注意しましょう。土曜日に診療を行っているクリニックでは、完全週休2日制でない場合も見受けられます。
休みを取りやすい看護師の職場は?
看護師が休みを取りやすい職場の特徴は以下のとおりです。
- 十分な人員体制が整っている
- 明確で公平なシフト管理システムが運用されている
- 希望休の申請ルールが明確である
- ICTツールを活用した効率的なシフト管理を行う
- スタッフ間の協力体制や良好なコミュニケーションが築かれている
病院や部署全体として有給休暇の取得を奨励し、ワークライフバランスを重視する方針を掲げているかも重要なポイントです。リフレッシュ休暇制度の導入や、時間外労働の削減への具体的な取り組みなどは、休みやすさへの意識が高い証拠となります。
まとめ

看護師の休日は、働く場所や働き方によって大きく変わります。勤務先の種類やシフトの組み方で、休日の数や取りやすさが異なるためです。土日や祝日に出勤することが多かったり、休みが不定期だったりすると、休みが少ないと感じやすくなります。
早めに休みの希望を伝えたり、同僚と協力したりすると、希望通りに休みを取りやすくなる傾向です。自分の生活スタイルに合った働き方を見つけて、上手に休みを取りながら、心も体も元気に過ごしましょう。