【専門看護師になるには?】必要な条件や費用、具体的なステップを解説

【専門看護師になるには?】必要な条件や費用、具体的なステップを解説

看護師として経験を積み重ねるなかで、さらに専門性を高めたいと考える方は多くいます。専門看護師(CNS)は、高度な看護実践能力を持ち、医療現場でのリーダーシップを発揮できる魅力的な資格です。この記事では、専門看護師になるメリットや必要な条件条件を解説します。

記事を読めば、専門看護師を目指すための具体的なステップと仕事・学業を両立させるコツがわかります。専門看護師を目指すには、5年以上の実務経験と看護系大学院での専門課程修了が必要です。計画的に準備を進め、必要な条件を一つずつクリアして、専門性の高い看護師としてのキャリアを築きましょう。

専門看護師になるメリット

専門看護師になると、特定領域での高度な知識と技術を持つエキスパートとして認められます。専門看護師になる主なメリットは以下のとおりです。

  • キャリアアップにつながる
  • 給与や待遇が向上する
  • 活躍の場や人脈が広がる

専門看護師になれば、専門性の高い看護を実践できるため、自己成長につながります。

キャリアアップにつながる

専門看護師の資格取得は、看護師としてのキャリアを大きく飛躍させるために必要です。専門分野における臨床判断能力が評価されるため、チーム医療のリーダーとしての役割を担うことが可能です。専門看護師になれば、より難度の高い症例や専門的なケースを担当する機会も増えます。

専門看護師としての研究活動の幅が広がり、学会などでの発表機会も増えます。国際的な活動の可能性も広がるため、グローバルな視点でのキャリア展開も視野に入れることが可能です。

給与や待遇が向上する

専門看護師になると、給与や待遇面で明確な向上が期待できます。一般の看護師と比べて、収入や労働環境が改善される点は大きな魅力です。専門看護師の平均年収は、一般看護師より15〜20%高くなります。専門看護師になると、専門性が正当に評価され、以下のような待遇面でメリットが受けられます。

  • 基本給のベースアップ
  • 専門性に応じた手当の支給
  • 管理職へのキャリアパス
  • 転職時の給与交渉

夜勤を減らして日勤専従になれる可能性が高まるため、専門看護師になると働き方にも良い変化が生まれます。専門看護師として専門的な判断や裁量権が与えられると、やりがいも増します。
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活躍の場や人脈が広がる

専門看護師になると、活躍の場や人脈を広げられます。専門看護師は複数の医療機関と連携する機会が増えるため、1つの病院だけでなく幅広い現場で専門性を発揮することが可能です。学会や研究会での発表、他職種との協働プロジェクト、組織を超えたチーム医療などの機会が増えます。

教育者としての側面も強化され、後進の指導にも関われます。専門看護師同士のコミュニティに参加すれば、情報交換や相互サポートも可能になり、専門性を高めることが可能です。
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専門看護師になるにはどうすればいい?必要な2つの条件

専門看護師になるために、満たすべき主な条件は以下の2つです。

  • 5年以上の実務経験
  • 看護系大学院での教育課程の修了

資格取得後も5年ごとの更新が必要で、継続的な実践活動や研究業績の提出が求められます。

5年以上の実務経験

専門看護師の資格を取得するには、看護師免許だけでなく5年以上の実務経験が必須条件です。専門看護師の申請を目指す看護師にとっては、非常勤勤務が常勤換算される仕組みに注意が必要です。週16時間勤務の場合は、実際の勤務期間の半分だけがカウントされる計算になります。

申請の際には、実務経験証明書の提出が必要です。実務経験証明書は所属長の署名が必要なので、事前に準備しておきましょう。5年以上の実務経験を通じて、基礎的な看護技術を習得し、希望する専門分野に関する知識や実践経験を積むことが求められます。

看護系大学院での教育課程の修了

専門看護師資格を取得するには、日本看護系大学協議会が認定した看護系大学院で専門看護師教育課程を修了することが必須です。看護系大学院での教育課程は、修士課程または博士前期課程で2年間にわたって行われます。カリキュラムは主に、以下の科目で構成されています。

  • 専門看護師共通科目
  • 専門看護分野別科目
  • 臨地実習

教育課程では、専門看護師として必要な実践能力や相談能力、調整能力、倫理調整能力、教育能力、研究能力を身に付けます。大学院修了時には修士論文の執筆・提出も必要です。看護系大学院で専門課程を修了すると、専門看護師認定審査の受験資格が得られます。

専門看護師になるためのプロセス

専門看護師になるには、以下の3つのポイントを理解しておく必要があります。

  • 大学院入学から認定審査までの流れ
  • 認定審査の詳細と合格基準
  • 資格取得後の更新手続き

大学院入学から認定審査までの流れ

専門看護師になるためには、大学院入学から認定審査まで複数のステップを踏む必要があります。専門看護師への道は、以下の段階を経て進みます。

  1. 看護師として5年以上の実務経験
  2. 目指す専門分野での3年以上の経験
  3. 看護系大学院の修士課程入学
  4. 専門看護師教育課程履修
  5. 修士課程修了
  6. 認定審査申請

大学院選びでは、日本看護系大学協議会によって認定された教育課程を持つ大学院を選ぶことが重要です。認定されていない大学院を卒業しても、専門看護師の受験資格を得られません。大学院での学びでは、通常2年間かけて専門的な知識と実践力を身に付けます。卒業後は、日本看護協会が実施する認定審査に臨みましょう。

認定審査の詳細と合格基準

専門看護師の認定審査は日本看護協会が年1回実施しており、一次審査と二次審査の2段階方式で行われます。一次審査は書類審査となっており、実践報告書や活動実績などの提出書類が評価対象です。二次審査では筆記試験と面接の2つの試験が行われます。筆記試験では専門分野の知識や実践能力を問う内容が出題されます。

面接で評価されるのは、専門的判断力や倫理的意思決定能力などです。合格基準は各審査項目で7割以上で、合格率は例年60〜70%程度となっています。審査料については、一次審査が2万円、二次審査が3万円程度が必要です。

資格取得後の更新手続き

専門看護師の資格は、継続的な専門性の維持と向上を証明するために、5年ごとに更新が必要です。更新には、以下の条件を満たす必要があります。

  • 40時間以上の研修受講
  • 2,000時間以上の実践時間
  • 実績報告書の提出
  • 実践活動証明書の提出
  • 症例数や研究実績の報告
  • 更新審査料の支払い

条件を満たせないと、専門看護師の資格を維持できず再受験が必要になるため注意しましょう。過去5年間での実践時間の証明や、所属施設からの証明書など、準備に時間がかかる書類もあります。更新申請は有効期限の6か月前から受け付けているので、計画的に準備を進めましょう。

専門看護師になるためにかかる費用

専門看護師になるための費用として、以下の2つのポイントを理解しておきましょう。

  • 学費や受験費用の目安
  • 奨学金や助成制度の活用

専門看護師になる費用は、一度にかかるのではなく期間を通して少しずつ必要になるため、事前に計画を立てておくことが大切です。

学費や受験費用の目安

専門看護師を目指すには、一定の費用が必要です。専門看護師になるまでにかかる、主な費用は以下のとおりです。

  • 大学院修士課程の学費
  • 入学金
  • 教材費
  • 専門看護師認定審査料
  • 認定審査受験のための交通・宿泊費
  • 認定登録料
  • 大学院通学のための交通費
  • 研究や実習に必要な費用

大学院の学費や認定審査費用など、必要となる費用全体を事前に把握しておきましょう。大学院修士課程の学費は、年間約80〜150万円かかります。国公立大学と私立大学では費用に差があり、私立のほうが高額になります。大学入学時には20〜30万円の入学金が必要です。

2年間の修士課程修了までにかかる総額の目安は約200〜400万円ほどです。

奨学金や助成制度の活用

専門看護師を目指す際の費用負担を軽減するためには、さまざまな奨学金や助成制度を活用することが重要です。利用できる主な制度には、以下のものがあります。

  • 日本看護協会の奨学金制度
  • 所属病院の大学院進学支援制度
  • 病院独自の専門資格取得支援金制度
  • 都道府県看護協会の育成助成金
  • 日本学生支援機構の大学院奨学金

経済的支援だけでなく、勤務面での支援制度も見逃せません。病院によっては、大学院への進学や専門看護師資格の取得支援のため、有給休職制度や時短勤務制度を設けているところもあります。大学院進学や勤務調整を希望する際は、人事部や上司に相談しましょう。

病院と提携している大学院では、10〜20%程度の学費割引制度が適用される場合もあります。

専門看護師を目指すときのポイント

専門看護師を目指すときのポイントは、以下の2つです。

  • 仕事と学業を両立させる
  • 計画的なキャリアパスを設定する

情熱を持てる専門領域を見極め、先輩の専門看護師を参考にしながら、学会や研修に積極的に参加して知識を深めましょう。

仕事と学業を両立させる

仕事と学業の両立は、専門看護師を目指すうえで最も大きな課題です。両立を成功させるためには、まず勤務形態の工夫が重要です。時短勤務や夜勤免除、フレックスタイム制度などを活用すれば、学業に充てる時間を確保できます。

多くの医療機関では、スキルアップを目指す看護師をサポートする制度を設けています。上司や同僚に事前に相談し自分の状況を伝えておけば、職場の理解と協力サポート体制を構築できます。忙しい試験期間などは、シフトの調整に協力してもらえる可能性があります。

仕事と学業を両立する過程では疲労やストレスが溜まりやすいため、ストレス管理を心がけましょう。完璧を求めすぎず、無理のないペース配分で進めることが長続きのコツです。家族の理解とサポートも重要です。家族に家事を分担してもらい、精神的な支えを受けると、心の余裕を保ちながら学業と仕事に取り組めます。

計画的なキャリアパスを設定する

将来の専門看護師としてのキャリアを成功させるには、計画的なキャリアパスの設定が欠かせません。明確な道筋を持つと、目標達成に必要な行動を効率的に進められます。キャリアパスを設定するには、自分の興味や強みを分析し、専門分野とどのようにマッチするかを考えることが重要です。

得意な分野や情熱を持てる領域で専門性を磨くことで、長期的なキャリア形成ができます。キャリアプランには、以下の要素を含めると理想的です。

  • 5年後・10年後のキャリア目標
  • 専門分野の症例が豊富な勤務先
  • 大学院進学前の実践経験期間
  • 研究テーマと文献収集計画
  • 学会や研究会への参加スケジュール

専門看護師資格取得後のキャリアパスを想定しておくことも大切です。資格を取った後にどのように活躍したいのかを考えておくと、資格取得への意欲も高まります。

専門看護師に関するよくある質問

専門看護師に関して看護師がよく抱く疑問は以下の3つです。

  • 働きながら専門看護師を目指せる?
  • 専門看護師と認定看護師のどちらが上位資格?

働きながら専門看護師を目指せる?

働きながら専門看護師を目指すことは可能です。実際に多くの看護師が仕事を続けながら資格取得に挑戦しています。専門看護師になるには看護系の大学院での学びが必要ですが、働きながら学ぶ選択肢があります。両立の方法は以下のパターンが一般的です。

  • 常勤のまま夜間・週末開講の大学院に通う
  • 非常勤やパートへ切り替える

勤務しながら学ぶ場合、通常2年間の修士課程で必要な単位を取得していきます。仕事と学業の両立には工夫が必要です。最近ではオンライン授業や遠隔学習を取り入れている大学院も増えているため、通学の負担を減らせます。

専門看護師と認定看護師のどちらが上位資格?

専門看護師と認定看護師は上下関係にある資格ではなく、それぞれ異なる役割や機能を持つ看護師の専門資格です。取得の難易度や求められる能力を比較すると、専門看護師のほうがより高度な位置づけにあります。専門看護師になるためには、看護系大学院の修士課程の修了と、5年以上の実務経験が必要です。

認定看護師は6か月以上の研修プログラムの修了で取得できるため、教育期間に大きな違いがあります。専門看護師は組織全体を見渡す広い視野を持ち、複雑な問題に対する判断や調整を行う立場にあります。認定看護師も特定の専門分野における直接的なケアに関しては、高い技術と知識を持っているのが特徴です。

まとめ

専門看護師になれば、キャリアアップや給与向上、人脈拡大など多くのメリットがあります。専門看護師資格の取得には、5年以上の実務経験と看護系大学院修了が必要なため、計画的に進めることが大切です。

専門看護師になるには学費や受験料などの費用がかかりますが、奨学金や助成制度を活用すれば負担を軽減できます。最も重要なのは、仕事と学業の両立ができる環境を整えることです。職場の理解を得て、時間管理を工夫すれば、仕事と学業の両立に無理なく取り組めます。

専門看護師資格は高度な看護実践能力を示すもので、看護師としての専門性と価値を高める手段となります。働きながらでも取得は十分可能です。周囲のサポートを得ながら、自分のペースで着実に準備を進めていきましょう。

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