訪問看護師の仕事内容とは?必要な資格や転職する際のポイントも徹底解説

訪問看護師の仕事内容とは?必要な資格や転職する際のポイントも徹底解説
  • 訪問看護師に興味があるけれど、仕事内容がよくわからない
  • 訪問看護師の給料や待遇について知りたい
  • もっと患者さん一人ひとりとじっくり向き合いたい

訪問看護師に興味はあるけれど、具体的な仕事内容や待遇について知らない方は多くいます。訪問看護師は患者さんの生活に深く関われるやりがいの大きい仕事です。

この記事では訪問看護師の仕事内容や給料、メリット・デメリット、転職先の選び方について解説します。記事を読めば訪問看護師について深く理解でき、具体的なキャリアプランを描けるようになります。

訪問看護師が自分に合う職業かどうかを見極め、理想の転職先を見つける参考にしてください。

訪問看護師とは在宅で療養している方の生活を支える看護師

訪問看護師とは病気や障害を持つ方の自宅を訪問し、看護ケアを提供する専門職です。新生児から高齢者まで幅広い患者さんに寄り添い、生活を支援することが訪問看護師の役割になります。訪問看護師は医師やケアマネージャーなど、他職種と連携を取り合いながら在宅医療を支えています。

訪問看護師に必要な資格や経験

訪問看護師になるには正看護師または准看護師の資格が必須で、臨床経験や普通自動車免許が必要な場合もあります。訪問看護師は一人で患者さんの自宅へ訪問することが多いため、的確な判断力や技術も不可欠です。

医療・介護スタッフとの連携に必要なコミュニケーション能力や特定分野の専門知識があると、訪問看護師への転職に有利です。

訪問看護師の給料と待遇

病院勤務に比べて訪問看護師の給料は高い傾向にあります。訪問看護師の平均年収は約450~550万円で、基本給にオンコール手当や訪問件数に応じた手当が加わります。訪問看護師の主な給与体系は以下の3つです。

  • 固定給制
  • 歩合制
  • 混合制

勤務体系は日勤が中心で土日祝日は休みの事業所が多いため、ワークライフバランスを取りやすいことが訪問看護師の特徴です。社会保険は完備されている場合がほとんどですが、退職金や研修制度は事業所によって異なる点には注意が必要になります。

訪問看護師の1日のスケジュール

訪問看護師の1日は朝の出勤から始まり、休憩や事務作業を挟みながら患者さんの自宅を訪問をする流れが一般的です。訪問看護師の主な1日のスケジュールは以下のとおりです。

8:30~9:00 出勤・朝礼
事業所に出勤後、朝礼や申し送り、メール・電話確認、訪問準備などを行います。
9:30~12:00 午前の訪問
午前中に1~2件の患者さん宅を訪問します。1件の訪問は30~90分程度で、バイタルチェックや服薬管理などのケアを実施します。
12:00~13:00 昼休憩
事業所に戻って休憩を取ったり、外出先で昼食を食べたりする訪問看護師もいます。
13:00~17:00 午後の訪問
午後は2~3件の訪問を行うことが一般的です。
17:00~17:30 事務作業・退勤
事業所に戻って看護記録の記入や情報共有、報告書作成などの事務作業を行って退勤します。

訪問看護師は病院勤務と異なり、各利用者宅への移動時間を含めたスケジュール管理が不可欠です。事業所の方針や患者さんの状況によって訪問看護師の1日のスケジュールは変動します。

訪問看護師の仕事内容

訪問看護師の主な仕事内容は以下のとおりです。

  • 健康状態の管理とバイタル測定
  • 医療処置と服薬管理
  • 日常生活支援と衛生管理
  • 終末期ケアと緩和ケア
  • リハビリテーションとADL向上支援

健康状態の管理とバイタル測定

訪問看護師の最も基本的な役割は患者さんの健康状態を注意深く観察し、些細な変化を見逃さないことです。体温や血圧、脈拍、呼吸、SpO2といったバイタルサインの測定と記録は健康状態の管理に欠かせません。訪問看護師は測定した数値や観察結果から健康状態を総合的に判断し、異常が見られたら主治医に報告します。

訪問看護師は食事や運動、排泄、睡眠など生活リズムの確認とアドバイスも行います。ただ数値を測るだけでなく、患者さん本人や家族から体調の変化や不安を聞き取ることも訪問看護師の仕事の一つです。

医療処置と服薬管理

訪問看護師は医師の指示にもとづいて医療処置や服薬管理も行います。訪問看護師が行う主な医療処置や服薬管理は以下のとおりです。

  • 点滴、注射、採血
  • 床ずれや傷の処置
  • 胃ろうや気管チューブ、尿管の管理
  • 在宅酸素や人工呼吸器など医療機器の管理
  • ストーマ(人工肛門・人工膀胱)のケア
  • 服薬状況の確認や副作用の観察
  • 血糖測定やインスリン注射などの支援

訪問看護の患者さんには在宅で医療機器を使っていたり、専門的な処置が必要だったりする方が多くいます。利用者の病状を安定させるためには、訪問看護師による専門的なサポートが不可欠です。

日常生活支援と衛生管理

訪問看護師は患者さんが自宅で安心して暮らせるように日常生活の支援や衛生管理も行います。訪問看護師が行う主な日常生活支援と衛生管理は以下のとおりです。

  • 入浴・清拭
  • 洗髪
  • 口腔ケア
  • トイレ介助
  • おむつ交換
  • 食事介助
  • 床ずれの予防
  • ベッド周りの整理

訪問看護師は患者さんの状況に合わせた支援が求められます。

終末期ケアと緩和ケア

終末期ケアと緩和ケアは訪問看護師の重要な役割の一つです。訪問看護を利用する患者さんの多くは病気による痛みや心の不安を抱えています。訪問看護師には患者さんの痛みや不安を和らげ、住み慣れた自宅で最期まで穏やかに過ごせるような支援が求められます。

エンゼルケアやグリーフケアなど、患者さんが最期を迎えた後の支援を行うことも訪問看護師の仕事です。

リハビリテーションとADL向上支援

リハビリテーションとADL(日常生活動作)向上支援も訪問看護師の仕事の一つです。訪問看護師は理学療法士や作業療法士と連携して患者さんの状況に合わせたケアを計画します。訪問看護師は患者さんに対して関節の硬化を防ぐ運動や歩行、立ち上がりの訓練などを行います。

日常生活が困難な患者さんに食事や着替え、入浴の指導を行うことも訪問看護師の役割です。

訪問看護師として働くメリット

訪問看護師として働くメリットは以下のとおりです。

  • 患者さんとじっくり向き合える
  • ワークライフバランスを整えやすい

患者さんとじっくり向き合える

患者さんとじっくり向き合えることは訪問看護師として働くメリットの一つです。訪問看護師には病院勤務でありがちなナースコールや緊急入院の対応に追われることがありません。一人の患者さんのためだけに時間が確保されているので、質の高いケアを提供できます。

患者さんと長期的な信頼関係を構築できることも訪問看護師の魅力です。患者さんの心に寄り添った看護を提供したいと考えている方は訪問看護師になることをおすすめします。
» 【職場別】看護師がやりがいを感じる瞬間を解説

ワークライフバランスを整えやすい

訪問看護師の仕事はプライベートとの時間を両立させやすいメリットがあります。訪問看護師は病棟勤務とは異なり、夜勤がなく日勤が中心で生活リズムが安定します。土日祝日が休みの事業者が多い点や、パートや時短勤務など柔軟な働き方を選べる点も訪問看護師の特徴です。

直行直帰ができる事業所もあるため、自分の生活に合わせた働き方をしたい方にとって訪問看護師は最適な職業だと言えます。
» 看護師の休み、実際どう?年間休日と有給のリアル

訪問看護師として働くデメリット

訪問看護師の仕事にはやりがいがある一方で、病院勤務とは異なる大変さもあります。訪問看護師として働くデメリットは以下の2つです。

  • オンコール対応がある
  • 移動の負担が大きい

オンコール対応がある

訪問看護師のデメリットとしてオンコール対応の負担が挙げられます。オンコール対応とは患者さんの緊急時に備えて訪問看護師が自宅などで待機する勤務形態です。オンコール担当の訪問看護師は患者さんや家族の緊急連絡にいつでも対応できるように、専用の携帯電話を持ち歩きます。

休憩中なども常に気を張っている必要があるため、オンコール担当の訪問看護師はプレッシャーやストレスを感じやすくなります。

移動の負担が大きい

患者さんの自宅へ移動する際の負担が大きいことは訪問看護師として働くデメリットの一つです。訪問看護師は猛暑や大雨、雪などの悪天候でも毎日移動しなければなりません。慣れない道の運転や交通渋滞、事故に巻き込まれるリスクなども精神的なストレスにつながります。

車から重い医療機器や荷物を出し入れする作業もあるため、訪問看護師は身体的な負担も大きい仕事です。

訪問看護師に転職するときのチェックポイント5選

訪問看護師に転職するときのチェックポイントとして、以下の5つを解説します。

  • 事業所の運営母体
  • 給料・待遇
  • 教育・研修の体制
  • オンコールの有無・回数
  • 評判・口コミ

事業所の運営母体

訪問看護師へ転職する際に事業所の運営母体を確認することは重要です。運営している組織によって訪問看護師の働きやすさや給与、福利厚生などが大きく変わるからです。訪問看護師が自分に合った事業所を見つけるためには、運営母体の特徴を理解しておく必要があります。主な運営母体は以下のとおりです。

病院・医療法人
母体病院との連携が強いため患者さんの急な体調変化にも安心して対応できます。福利厚生や教育制度が充実している傾向にある点が特徴です。
社会福祉法人・NPO法人
地域への貢献や患者さんの生活を支えることを重視しています。利益を追求するよりも、ケアの質を優先する傾向が強い点が特徴です。
民間企業
IT化や業務の効率化が進んでいる事業所が多く、働きやすい環境が期待できます。独自の給与制度や多様なキャリアプランが用意されています。
個人経営
経営者の考えが直接運営に反映されやすいことが特徴です。アットホームな雰囲気で、柔軟な働き方ができる傾向にあります。

訪問看護師に転職する際は事業所の運営母体の違いを知り、自分の価値観に合う事業所を選んでください。

給料・待遇

訪問看護師の給料や待遇は事業者によって異なるため事前確認が不可欠です。訪問看護師の基本給に加えて、オンコール手当や訪問手当の詳細を必ず確認しましょう。オンコール手当は緊急時待機への対価で、事業所により金額が大きく異なります。

訪問手当も1件ごとか移動距離による支給かで計算方法が変わるため、具体的な算出方法を聞くことが大切です。賞与については過去の支給実績を確認し、経験年数に応じた年収例を提示してもらいましょう。

社会保険や退職金制度の有無は長期的な安心感に直結します。小規模事業所では退職金制度がない場合もあるため必ず確認してください。産休・育休については取得実績と復帰後のサポート体制を具体的に聞きましょう。
» 看護師の平均年収や給与を上げる方法・年収が高い職場を徹底解説!

教育・研修の体制

教育・研修の体制は訪問看護師に転職する際にチェックすべきポイントの一つです。充実したサポート体制は新しい環境での不安を和らげ、スキルアップを目指すうえでの大きな助けになります。教育・研修の体制の具体例として、以下のものが挙げられます。

  • マンツーマンでの指導
  • 勉強会・事例検討会
  • 外部研修・資格取得の支援
  • eラーニング

教育・研修の体制の整った事業所を選び、安心して訪問看護師としてのキャリアを積み上げていきましょう。

オンコールの有無・回数

オンコールの有無や回数は訪問看護師に転職するうえで重要なポイントです。オンコールは勤務時間外も対応が求められるため、プライベートの過ごし方や生活リズムに大きく関わります。オンコールの有無や回数について確認が必要な項目は以下のとおりです。

  • 月の担当回数
  • 手当の金額
  • 担当免除・相談の可否

オンコールの有無や回数を事前に確認しておけば、訪問看護師に転職した後のミスマッチを未然に防げます。

評判・口コミ

訪問看護師に転職する際は事業所の評判や口コミを事前に調べておきましょう。職場の人間関係や有給休暇の取りやすさなどの内情は求人情報には載っていません。評判や口コミは事業所の雰囲気や働きやすさを知るための貴重な情報源になります。

さまざまな角度からリアルな情報を集めれば、訪問看護師として長く安心して働ける事業所が見つかります。

訪問看護師としての働き方を理解して自分に合うキャリアを描こう

訪問看護師は自宅療養する患者さんに合わせた看護ケアを提供する専門職です。患者さんとじっくり向き合える点やワークライフバランスを整えやすい点が訪問看護師として働くメリットです。訪問看護師に転職する際は以下の項目を確認してください。

  • 事業所の運営母体
  • 給料・待遇
  • 教育・研修の体制
  • オンコールの有無・回数
  • 評判・口コミ

訪問看護師としての働き方について理解して自分に合ったキャリアを見つけましょう。

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