看護師は定年後も働ける?選ぶべき職場と働くメリット・デメリットを解説

看護師は定年後も働ける?選ぶべき職場と働くメリット・デメリットを解説
  • 「看護師の定年っていつなの?」
  • 「定年後も看護師として働けるのかな…」
  • 「働くとしたらどんな場所がある?体力的に大丈夫?」

看護師として働く中で、定年後の働き方に不安を感じることはありませんか?この記事では、看護師の定年制度の現状や、定年後も働くメリット・デメリットを解説します。記事を読めば、自身のライフプランに合ったセカンドキャリアを見つけられます。

看護師の定年は法律で定められていますが、再雇用制度を活用すれば年齢に関わらず活躍が可能です。自分らしいセカンドキャリアを充実させましょう。

看護師の定年の概要

近年は働く環境や法律の変化に伴い、看護師の定年を取り巻く状況も変化しています。多くの医療機関や施設では定年が設定されており、看護師がキャリア計画を立てるうえで定年制度は欠かせない情報です。看護師の定年の概要を、以下の項目ごとに解説します。

  • 看護師の一般的な定年年齢
  • 看護師の定年年齢の引き上げ
  • 高年齢者雇用安定法の影響

看護師の一般的な定年年齢

働く場所によって多少の違いはありますが、看護師の定年年齢は一般的に60歳が目安です。公立病院や国立病院機構、民間の医療機関においても、60歳が一般的な定年の基準とされていたためです。

看護師の定年年齢の引き上げ

近年、看護師の定年年齢が引き上げられる傾向にあります。「高年齢者雇用安定法」という法律の改正によって、企業は希望者を65歳まで雇用する義務が生じました。最近では70歳まで働く機会を設けるよう会社に努力が求められているのが現状です。

多くの病院や施設でも、定年を65歳まで引き上げたり、65歳以降も再雇用制度を利用して働き続けるケースが増えてきました。看護師不足や高齢化社会も、定年が引き上げられる動きを後押ししています。ただし、病院や施設によって定年年齢や再雇用の仕組みは異なります。

60歳以降も看護師として働くことを希望する場合は、病院や施設ごとの定年年齢や再雇用の仕組みを確認しましょう。

高年齢者雇用安定法の影響

高年齢者雇用安定法は、企業や病院などに対して、高齢者が安心して働けるルールを定める法律です。高年齢者雇用安定法には、以下の内容が盛り込まれています。

  • 企業には希望する従業員を65歳まで雇用する義務がある
  • 70歳までの働くチャンスを提供することも、努力目標である

高年齢者雇用安定法にもとづき、多くの病院では定年年齢の引き上げや廃止、再雇用・勤務延長制度の導入を取り入れています。高齢者が働くための取り組みによって、経験を積んだ看護師が長く知識や技術を生かせる環境が整いつつあります。

定年後も看護師として働くメリット

定年後も看護師として働くメリットは、以下のとおりです。

  • 経済的な安心感を得られる
  • 社会とのつながりを保てる
  • 経験を生かして活躍できる

経済的な安心感を得られる

定年後も看護師として働くことで、安定した収入を得つつ、将来への備えを充実させられます。定年後も働くことによる経済的なメリットは、以下のとおりです。

  • 年金だけでは不足しがちな生活費を補える
  • 現役時代に近い生活レベルを維持しやすい
  • 万一の出費への備えを増やせる
  • セカンドライフを楽しむ資金的余裕が生まれる
  • 物価上昇の影響を和らげられる

定年後も看護師として働くことは、お金の心配を減らし、安心して充実した日々を送る助けになります。
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社会とのつながりを保てる

定年後も看護師として働くことで、日々の業務を通じて多くの人と関わりを持てます。看護師の仕事は社会とのつながりを以下の形で実感できるため、定年後の生きがいや安心にもつながります。

  • 患者との触れ合いや感謝の言葉に喜びや生きがいを感じられる
  • 医療チームの一員として安心感を得られる
  • 自分が社会の役に立っていると実感できる
  • 社会との接点が自然と保たれ孤独を防げる
  • 世の中の変化に対応しやすくなる
  • 自分が必要とされていると感じ自信を持てる
  • 家族以外の人との新しい関係を作るきっかけになる

看護師として働き続けることは、精神的な充実感を得ながら、社会とのつながりを保つことに効果的です。

経験を生かして活躍できる

知識や技術、患者・家族との関わり方など、長年培ってきた看護師の経験は、定年後もさまざまな場面で役立ちます。看護師としての経験は、以下の場面で活躍します。

  • 若手看護師の指導や教育
  • 専門分野への対応
  • 患者や家族への心のケア
  • 業務改善の提案
  • チーム内での相談対応
  • 緊急時や困難な状況への対応
  • さまざまな病状や状況への対応
  • 患者とのコミュニケーション

長年培った看護師としての経験を生かして職場の人々を助けることで、定年後も頼りにされる存在として輝けます。
» 看護師が向いている人の特徴や適性を生かせる職場を紹介!

定年後も看護師として働くデメリット

定年後も看護師として働き続けるデメリットは以下のとおりです。

  • 体力的な負担が大きい
  • 職場環境になじみにくいことがある
  • 待遇や役割に不満を感じることがある

体力的な負担が大きい

定年後も看護師として働く場合、若い頃よりも体に疲れがたまりやすくなるため、身体に負担がかかります。不規則な生活や足腰への負荷などによって、以下の症状が現れやすくなります。

  • 睡眠不足
  • 腰痛・関節痛
  • うつ症状
  • 慢性疲労
  • 慢性的な体調不良

加齢による体力の減少もあるため、若い頃と同等の仕事量をこなすことも困難です。定年後も看護師として働く際は、自分の体力とよく相談し、無理のない働き方を考えましょう。

職場環境になじみにくいことがある

定年後に新しい職場で働く場合、今までの職場とは異なるさまざまな変化に対応しなければなりません。中でも若い世代のスタッフとのコミュニケーションや価値観の違いは、定年後に働く看護師の多くが経験する課題です。電子カルテや新しい医療機器など、最新技術への適応も求められます。

年下の上司や指導的立場のスタッフとの関係構築も必須です。長年の経験による固定観念と新しい職場のやり方の違いもあります。周囲のスタッフとの体力的な差や業務ペースの違いも、新しい環境に適応できない原因の一つです。

待遇や役割に不満を感じることがある

定年後の再雇用や新しい職場では、経験や立場が必ずしも同じように評価されるとは限りません。定年後に働く場合、以下の点で不満を抱くケースがよくあります。

  • 給与が低下する
  • 役職や権限が小さくなる
  • 経験やスキルが十分に評価されない
  • 仕事内容が単調になる
  • 現役時と比べて福利厚生が劣る
  • 昇進や昇給機会が少ない

定年後の再雇用などによる待遇や役割の変化は、仕事への意欲や満足感に大きな影響を与えます。

看護師の定年後に働きやすい職場

定年後も看護師としての経験や知識を生かせる職場は多く存在しています。定年後の看護師が働きやすい職場は、以下の5つです。

  • クリニック
  • 介護施設
  • 訪問介護
  • 保育園・学校
  • 特別養護老人ホーム・デイサービス

» 【職場別】看護師がやりがいを感じる瞬間を解説

クリニック

一般的に夜勤がないクリニックは、体力的な負担を抑えながら働きたい定年後の看護師に向いています。クリニックで働くメリットは、以下のとおりです。

  • 夜勤なし・日勤のみの勤務が多い
  • 外来業務が中心で業務内容が安定している
  • パートタイムなど柔軟な勤務形態を選びやすい

地域に根ざした医療を提供し、患者とじっくり向き合える環境も看護師にとっては魅力です。長年の経験や専門性を生かせる場面も期待できるので、体力に不安のある定年後の看護師でも十分に活躍できます。

介護施設

介護施設は病院に比べて急な体調変化への対応が少なく、体力的な負担を抑えやすい職場です。利用者一人ひとりとじっくり向き合いやすいため、長年の看護経験を生かしながら、生活に寄り添ったケアを提供できます。高度な医療処置よりも、日々の健康管理やお薬の管理が業務の中心になります。

夜勤がない、または回数が少ないなど、柔軟な勤務形態を選びやすいことも介護施設で働くメリットです。医師や介護スタッフなど、さまざまな職種の人と協力して働くため、チームで働く経験が役立ちます。利用者さんの生活に寄り添った看護ができ、病院とは異なる看護のスキルも伸ばすことが可能です。

レクリエーションや季節のイベントなど、医療行為以外の業務にも携われます。入居されている方がいる施設や、日帰りで利用される施設など、施設の形態ごとに異なる働き方が選べることも魅力です。場合によっては、利用者さんの最期を見守る役割も担います。

訪問看護

訪問看護の事業所では日勤が基本で、夜勤がないか少ない場合が多く、生活リズムを整えやすい傾向にあります。非常勤やパートタイムなど自身の体力に合わせて勤務形態を選びやすいため、定年後の看護師でも働きやすい職場です。

長年の臨床経験や判断力が直接役立つ場面も多く、利用者一人ひとりにじっくりと向き合った個別ケアを提供できます。地域医療への貢献を実感しながら、利用者や家族と温かい信頼関係を築いていけることも、訪問看護ならではのやりがいです。

保育園・学校

保育園や学校は、体力的な負担が比較的少なく、子どもたちの成長を間近で見守ることにやりがいを感じられる職場です。主な業務として、園児・生徒の健康管理やけがの応急処置、感染症の予防などがあります。夜勤やオンコールが基本的にないため、規則正しい生活を送りやすい環境です。

カレンダー通りに休める場合が多く、プライベートの時間も確保しやすいことも保育園や学校で働く魅力です。保護者や教職員との連携も重要なので、コミュニケーション能力を生かす場面も多くあります。ただし、学校によっては、養護教諭の資格が必要になる場合があります。

特別養護老人ホーム・デイサービス

特別養護老人ホームやデイサービスは、高齢者の生活に深く関わりたい看護師におすすめの職場です。日勤が中心で体力的な負担が比較的少なく、定年後でも働きやすい環境が整っています。高齢者介護の経験を生かしつつ、利用者一人ひとりに向き合えることも特別養護老人ホームやデイサービスで働く魅力の一つです。

特別養護老人ホームやデイサービスにおける仕事内容は、以下のとおりです。

  • 利用者の健康管理(バイタルチェックや服薬管理、経管栄養、褥瘡処置など)
  • レクリエーションや機能訓練のサポート(主にデイサービス)
  • 緊急時の対応や看取りへの関与(主に特別養護老人ホーム)

利用者の健康管理には、介護職員との密な連携とチームケアが欠かせません。特別養護老人ホームやデイサービスは、病院勤務と比較すると医療処置の機会が少ない傾向にあります。しかし、施設によってオンコール対応が求められる場合や、待遇面で病院勤務と異なる場合がある点に留意しましょう。

看護師の定年に関するよくある質問

看護師の定年に関してよくある質問を以下にまとめました。

  • 看護師は定年後、何歳まで働ける?
  • 定年後に再就職するにはどうすればいい?
  • 看護師は定年後、年収が下がる?

看護師は定年後、何歳まで働ける?

看護師が定年後に働ける年齢に法律上、上限はありません。多くの病院や介護施設には「再雇用制度」もあるため、定年後も看護師として働ける環境が整っています。自身の健康状態や体力、働く場所の状況が合えば、長く働くことは可能です。

職場によっては70歳を超えても元気に活躍する看護師もいます。働き方もパートタイムや嘱託職員などを選べば、体力に合わせて勤務時間を調整可能です。

定年後に再就職するにはどうすればいい?

定年後に看護師として再び働くためには、事前の準備と積極的な行動が必要です。計画的に準備を進めることで、自分に合う職場が見つかりやすくなるほか、採用されるチャンスも広がります。再就職の準備におすすめの方法は、以下のとおりです。

  • ハローワーク・転職サイト登録
  • 現職場の再雇用制度確認
  • 人脈からの情報収集
  • 経験・スキルの整理
  • 知識・技術のアップデート
  • 希望条件の明確化
  • 応募書類準備・面接練習
  • 健康面を考慮した職場選択
  • 多様な勤務先の検討

再就職のための準備を一つひとつ丁寧に行えば、定年後の新しい仕事探しをスムーズに進められます。
» 理想の働き方を実現する!看護師の転職を成功させるポイント

看護師は定年後、年収が下がる?

一般的に定年後の看護師の年収は、現役時代と比べて下がります。再雇用や嘱託契約で給与水準が見直されることが多いためです。現役時代では支給されていた夜勤手当や役職手当などが、定年後は支給対象外となったり、金額が減ったりする場合もあります。

勤務日数や勤務時間が以前より短くなるケースも多く、結果的に総収入は減少します。雇用形態が正社員から給与形態が異なるパートタイムやアルバイトに変わることも、年収に影響が出る理由の一つです。しかし、今までの豊富な経験や専門的なスキルを高く評価してくれる職場なら、好条件で雇用される可能性もあります。

まとめ

定年後も、看護師として活躍できる道は多くあります。高年齢者雇用安定法によって65歳までの雇用が確保されたことで、長年の知識や経験を生かせる機会が増えてきました。体力的な負担を考慮してクリニックでパートタイムとして働いたり、介護施設や訪問看護の分野で経験を役立てたりできます。

定年後も働き続けるためには、自身の希望や体力に合った働き方が必要です。待遇面の変化や新しい環境への適応も考慮して、定年後のキャリアプランを慎重に立てましょう。

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