大学病院の看護師の年収を知りたいときは、病院ごとの公式採用情報と、その金額の前提を確認することが大切です。「大学病院なら必ず高い」「国立・公立・私立の順に給与が高い」とは決められません。
また、採用ページの月給には、夜勤を一定回数担当した場合の手当が含まれていることがあります。新卒のモデル給与と、中途採用の提示額、勤務する全員の平均年収は別の情報です。
この記事では、実際の大学病院の公式資料を例に、給与・賞与の読み方と、転職前に確認したい条件を整理します。
大学病院の平均年収と、個別の給与例は分けて読む
大学病院全体の平均年収を確認するには、大学病院を対象にした調査の集計範囲や条件が必要です。看護師全体の平均額や、ある病院の新卒給与を、そのまま大学病院の平均年収とすることはできません。
看護師全体の参考値は看護師の平均年収と給与の比較方法で紹介しています。勤務先を選ぶときは、統計の平均に加え、自分の資格・経験・勤務条件での提示額を確認しましょう。
給与は運営法人や病院の規程によって異なります。国立大学病院という名称だけで、看護師全員が国家公務員として全国共通の給与を受け取る、と理解するのは適切ではありません。公立・私立についても、雇用主と適用される規程を確認してください。
公式募集要項の給与例は、注記まで確認する
東京大学医学部附属病院の2027年度募集要項には、新卒者の給与例として、次の金額が掲載されています。掲載値の基準は2025年4月実績です。
| 項目 | 3年課程卒 | 4年制大学卒 |
|---|---|---|
| 基本給与 | 249,400円 | 253,100円 |
| 教育研究連携手当 | 48,633円 | 49,354円 |
| 夜勤分の主要手当 | 61,083円 | 61,286円 |
| 合計 | 359,116円 | 363,740円 |
出典:東京大学医学部附属病院・2027年度看護職員募集要項の2ページ。2026年9月確認。
この例は夜勤5回分を含み、超過勤務手当などは含みません。入職当初で夜勤が少ない場合や、給与規則の変更などによって金額が変わる旨も記載されています。大学病院全体の平均でも、あなたの採用条件の保証でもありません。
このように、募集年度だけでなく給与例の実績時点、資格、夜勤回数、含まれない手当を確認することが大切です。
月給に12を掛けるだけでは、初年度の年収は分からない
年間の収入を考えるときは、毎月の給与に賞与などを加えます。ただし、夜勤を開始する時期や賞与の算定期間、入職月によって初年度の額は変わります。
上記の公式募集要項でも、賞与は通常年と採用初年度を分けて記載されています。モデル月給を12倍し、通常年の賞与を足して、そのまま新卒初年度の年収とする計算は避けましょう。
中途採用の場合も、職歴が基本給にどう反映されるか、入職した月によって賞与がどう変わるかを確認します。年収例を提示されたら、「初年度ですか、翌年度以降ですか」と聞くと、比較する条件が明確になります。
国立・公立・私立の区分より、給与の内訳を比較する
| 比較する項目 | 確認したいこと |
|---|---|
| 基本給 | 学歴・資格・職歴をどう評価するか。給与表のどこに当てはまるか |
| 固定の手当 | 誰に支給されるか。地域・住居などの要件があるか |
| 夜勤・オンコール | 想定回数、一回の時間、手当の内訳、実際の勤務体制 |
| 賞与 | 算定の基礎、支給対象期間、初年度の扱い、過去実績との違い |
| 昇給・評価 | 評価の方法、昇給の条件、役割変更との関係 |
| 退職金・福利厚生 | 対象条件、勤続期間、寮や支援制度の利用条件 |
一つの病院の制度を、同じ設立区分のすべての大学病院に当てはめないことが大切です。賞与や昇給の過去実績も、将来の支給額を保証するものとは限りません。
年収と一緒に、勤務時間と学習の負担も確認する
希望する専門分野を学べるかは、大学病院を検討する理由の一つです。ただし、教育や研究の体制、配属後の仕事は病院・部署ごとに異なります。
入職後の研修、研究や委員会活動、夜勤開始までの教育、困ったときの相談先を確認しましょう。学習の機会があるという説明だけでなく、勤務との両立や時間の扱いも聞くことが大切です。
勤務前の準備や勤務後の記録、参加を求められる研修などについて、勤怠の扱いを確認します。残業代がつくことと、無理なく続けられる業務量であることは別の問題です。看護師の残業と勤務時間の考え方
夜勤も回数だけでなく、一回の勤務時間、休憩、勤務間の休息を比較してください。看護師の夜勤と確認点
資格取得や管理職で、必ず一定額増えるわけではない
専門看護師・認定看護師などの資格、特定行為研修、管理職への昇進は、専門性や役割を広げる選択肢です。ただし、給与への反映は勤務先の規程によって異なります。
資格を取る前には、学費や研修時間への支援、取得後の配置、担当業務、手当の対象を確認しましょう。「資格を取れば必ず年収が上がる」という前提だけで進学を決めないことが大切です。看護師のキャリアアップの考え方
管理職になった場合も、役職手当に加え、夜勤やその他の手当、勤務時間、責任の変化を確認します。役職名だけで年収を決めつけず、提示条件を比較してください。
中途採用では、経験の評価と配属をすり合わせる

大学病院で働きたい理由と、これまで担当してきた仕事を整理しましょう。高度な医療への関心、専門分野の学習、教育への関わりなど、希望を具体的に伝えます。
同時に、未経験の業務や入職後に学びたいことも伝えます。経験年数が給与に反映されても、希望の科への配属が保証されるとは限りません。配属の決め方、異動の可能性、教育期間を確認してください。
離職率が気になる場合も、大学病院という区分だけで判断せず、対象年度や部署の状況を確認します。看護師の離職率の読み方
大学病院への応募は、直接募集も確認する

希望の大学病院がある場合は、まず公式採用ページで募集区分と応募方法を確認します。新卒、中途、年度途中の採用、任期付きなどで、時期や条件が違う場合があります。
看護roo!やレバウェル看護を利用する場合も、希望の病院や条件の求人を紹介できるか確認してください。すべての大学病院の募集を扱うわけではなく、直接応募が必要な場合もあります。同じ求人への重複応募を避けるため、応募先と経路は整理しておきましょう。
看護roo!・レバウェル看護を中心とした転職サービスの比較では、相談時の確認点を紹介しています。希望する求人に対応している場合に、条件確認や応募準備の支援を活用してください。
最後に、提示額と条件を書面で確認する
内定後は、基本給、手当、賞与、雇用期間、勤務地、担当業務などを、採用側の書面と照合します。「大学病院だから安心」と確認を省かず、疑問があれば入職前に解消しましょう。
年収の高さと、自分が続けたい看護や生活との両立を同じ表で比べることが大切です。まずは希望する病院の募集要項を一つ読み、給与の内訳と、まだ分からない条件を分けてみてください。